ナンガルハール州

ナンガルハール州は、アフガニスタン東部に位置し、パキスタンとの国境に接する重要な州です。州都はジャラーラーバードで、その地理的な位置から、古くから交通の要衝として機能してきました。

地理と交通

ナンガルハール州の東部には、カイバル峠という重要な峠があり、アジアハイウェイ1号線が通過しています。この峠は、歴史的にインド亜大陸と中央アジアを結ぶ重要なルートであり、現在でも物流や人々の移動に不可欠な存在です。州の面積は約7,727平方キロメートルで、人口は約129万人（2021年時点）です。

州の行政と現状

2021年10月現在、ナンガルハール州の知事はMullah Daoud Muhazmilが務めています。しかし、アフガニスタン全体の政治情勢が不安定であるため、州の行政運営も常に変化にさらされています。

治安と紛争

ナンガルハール州は、長年にわたり紛争の影響を受けてきました。特に、ケシの生産は治安状況と密接に関連しており、2005年に急減した後、2007年に再び急増するという変動が見られました。また、1978年から1989年のアフガニスタン紛争時に設置された地雷が現在も残存しており、住民の安全を脅かしています。

2008年には、州内で人道支援活動を行っていた日本人がターリバーンに拉致・殺害されるという痛ましい事件が発生しました。さらに、2019年には、灌漑事業などに取り組んでいたペシャワール会代表の医師・中村哲氏が、州都ジャラーラーバードで武装グループに襲撃され、命を落としました。これらの事件は、ナンガルハール州における治安の深刻さを物語っています。

2021年までに、ターリバーンが州内を制圧しましたが、同時にISKP（ISの地域組織）などの反ターリバーン武装勢力も勢力を拡大しています。同年8月には、カーブル国際空港での自爆テロ事件を受け、アメリカ中央軍がナンガルハール州のISKP拠点を無人航空機で攻撃するという事態も発生しました。このように、州内では複数の勢力が入り乱れ、不安定な状況が続いています。

その他

ナンガルハール州は、アフガニスタンの中でも特に紛争の影響を強く受けてきた地域の一つです。住民は、紛争、貧困、テロの脅威にさらされており、国際社会からの支援が求められています。

参考資料

アフガニスタンの州
パシュトゥーニスターン

外部リンク

* Map of Nangarhar province (PDF)

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