ナーゲル (カメラ)

ナーゲルの歴史

ナーゲル（Dr. August Nagel Kamerawerk）は、1928年にアウグスト・ナーゲルによってドイツで設立された写真機メーカーです。アウグスト・ナーゲルは、1908年にドレクスラー・ナーゲルを共同設立し、その後コンテッサ・ネッテルを経てツァイス・イコンの技術者となりました。1928年にツァイス・イコンを退社後、自身の会社ナーゲルを設立しました。

1931年、ナーゲルはアメリカのコダックに買収され、コダックAG（ドイツコダック）となりました。コダックはナーゲルの高い技術力を評価し、製品には「Made by Kodak A.G. Dr. Nagel-Werk Stuttgart Germany」と刻印しました。これにより、ナーゲルの技術がコダック製品にも引き継がれたことがわかります。

1934年には、アウグスト・ナーゲルが開発したレチナが発売され、ベストセラーシリーズとなりました。レチナは、現代では一般的な「パトローネ入り35mmフィルム」を普及させるきっかけとなりました。もともとアグフアが最初に発売しましたが、レチナの大ヒットにより、この規格が広く使われるようになりました。また、レチナは、モーターによるフィルム給送が一般的になる以前によく使われたレバー巻き上げ機構の元祖でもあります。ライカM3の発売時には、「フィルム巻き上げはレチナ式」と説明されたほど、その機構は広く認知されていました。

1943年にアウグスト・ナーゲルが亡くなると、エルンスト・ライツ（現在のライカ）で働いていた息子のヘルムート・ナーゲルが後を継ぎました。

ナーゲルの主な製品

ナーゲルは、様々なフィルム規格に対応したカメラを製造していました。以下に、主な製品をまとめます。

110フィルム使用カメラ

ポケット・インスタマチック300（1972年発売）
ポケット・インスタマチック100（1972年発売）
インスタマチック192（1975年発売）
テレ・インスタマチック500エレクトロニック（1975年発売）
インスタマチック130（1976年発売）
インスタマチック230（1976年発売）
ミニ・インスタマチックS30（1976年発売）
ミニ・インスタマチックS40（1976年発売）
ポケット・エクトラ200
ポケット・インスタマチック500エレクトロニック

120フィルム使用カメラ

ボレンダ70（1930年発売） - 6×9cm判。レンズはナーゲル製またはエルンスト・ライツのエルマーが使われた。

126フィルム使用カメラ

インスタマチック500（1963年発売）
インスタマチック250（1964年発売）
インスタマチック220（1965年発売）
インスタマチック224（1966年発売）
インスタマチック324X（1966年発売）
インスタマチック33（1968年発売）
インスタマチック133（1968年発売）
インスタマチック233（1968年発売）
インスタマチック333（1968年発売）
インスタマチック・レフレックス（1968年発売）
インスタマチック133X（1970年発売）
インスタマチック233X（1970年発売）
インスタマチック333X（1970年発売）
インスタマチック55X（1971年発売）
インスタマチック155X（1971年発売）
インスタマチック255X（1971年発売）
インスタマチック355X（1971年発売）
インスタマチック56X（1972年発売）
インスタマチック77X（1977年発売）
インスタマチック177X（1977年発売）
インスタマチック277X（1977年発売）

127フィルム使用カメラ

ボレンダ50 - 4×6.5cm判。
ボレンダ48（1931年発売） - 4×3cm判。シュナイダー・クロイツナッハ、エルンスト・ライツ、カール・ツァイス製レンズが使われた。
ピュピレ（1931年発売） - 4×3cm判。エルンスト・ライツ、シュナイダー・クロイツナッハ、クック製レンズが使われた。
ボレンダ52（1935年発売） - 4×6.5cm判。シュナイダー・クロイツナッハ製レンズが使われた。

135フィルム使用カメラ

レチナ - 1934年に発売されたベストセラーのコンパクトカメラ。

616フィルム使用カメラ

ジュニアシックス-16（1935年発売） - アメリカやイギリスでも生産された。

620フィルム使用カメラ

リージェント（1935年発売） - コダック買収後初の製品で、流線型デザインが特徴。
リージェントII（1939年発売） - 近代的なデザインとなり、距離計が内蔵された。

写真乾板使用カメラ

レコマー18
レコマー33（1932年発売）

まとめ

ナーゲルは、アウグスト・ナーゲルの高い技術力と革新的なアイデアによって、多くの名機を生み出したカメラメーカーです。コダックに買収された後も、その技術力は受け継がれ、レチナシリーズをはじめ、多くのカメラファンに愛される製品を世に送り出しました。特にレチナは、その後のカメラの発展に大きな影響を与えたモデルとして、高く評価されています。

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