ナーヤカ朝

ナーヤカ朝は、南インドに存在したヒンドゥー王朝の総称であり、ヴィジャヤナガル[[王国]]の領主層であるナーヤカが、王国からの半独立あるいは独立を経て樹立した王朝群を指します。ナーヤク朝とも呼ばれることがあります。

歴史的背景

ナーヤカ朝を築いたナーヤカたちは、ヴィジャヤナガル[[王国]]の中でも有力な大ナーヤカに分類される存在でした。彼らは、王国の支配下でそれぞれの地域を統治していましたが、王国の衰退とともに、その立場を変化させていきます。

1565年のターリコータの戦いは、ナーヤカ朝の成立に大きな影響を与えました。この戦いでヴィジャヤナガル[[王国]]は、ムスリム5王国連合軍に敗北を喫し、王国の権威は大きく失墜しました。この敗戦を機に、ナーヤカたちは半独立の立場を強め、公然と王国に反抗する姿勢を見せ始めました。

1614年、ヴィジャヤナガル[[王国]]最後の偉大な王とされるヴェンカタ2世が死去すると、王国は大規模な内乱に突入しました。この混乱に乗じて、各地のナーヤカたちは次々と独立を宣言し、ナーヤカ朝として正式に独立を果たしました。

主要なナーヤカ朝

ナーヤカ朝には、いくつかの主要な王朝が存在しました。以下にその代表的なものを挙げます。

シェンジ・ナーヤカ朝：シェンジを拠点としたナーヤカ朝。
マドゥライ・ナーヤカ朝：マドゥライを拠点とし、最も繁栄したナーヤカ朝の一つ。
タンジャーヴール・ナーヤカ朝：タンジャーヴールを拠点としたナーヤカ朝で、芸術や文化の発展に貢献しました。
ケラディ・ナーヤカ朝：ケラディを拠点とし、比較的長く存続したナーヤカ朝。
チトラドゥルガ・ナーヤカ朝：チトラドゥルガを拠点としたナーヤカ朝で、最後のナーヤカ朝となりました。

これらのナーヤカ朝は、互いに勢力を争い、時に滅ぼし合ったり、外部勢力によって滅ぼされたりしながら、その数を減らしていきました。しかし、一部のナーヤカ朝は18世紀に入っても細々と存続し、地域によっては独自の文化を育みました。

ナーヤカ朝の終焉

ナーヤカ朝の歴史は、1779年にチトラドゥルガ・ナーヤカ朝がマイソール[[王国]]によって滅ぼされたことで終わりを告げました。これにより、南インドにおけるナーヤカの支配は完全に終焉し、新たな勢力による支配へと移り変わっていきました。

ナーヤカ朝の時代は、南インドの政治・文化・社会に大きな影響を与えました。特に、マドゥライ・ナーヤカ朝やタンジャーヴール・ナーヤカ朝は、ヒンドゥー教寺院の建設や芸術の振興に力を注ぎ、その遺産は現代にも残っています。また、ナーヤカ朝の興亡は、南インドにおける政治勢力の変遷を理解する上で重要な視点を提供します。

参考資料

辛島昇 『新版　世界各国史7　南アジア史』 山川出版社、2004年
辛島昇・坂田貞二 『世界歴史の旅　南インド』 山川出版社、1999年
内藤雅雄、中村平治 『南アジアの歴史』 有斐閣アルマ、2006年
* 辛島昇 他 『南アジアを知る事典』 平凡社、2012年

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