ニアス島

ニアス島について

ニアス島は、インドネシアのスマトラ島西方約140kmに位置する、北スマトラ州最大の島です。ムンタワイ海峡によってスマトラ島と隔てられ、周辺にはシムルー島やバトゥ諸島が連なります。この島はユーラシアプレート上にあり、西のスンダ海溝ではオーストラリアプレートが沈み込んでいます。2004年のスマトラ沖地震と2005年のニアス地震で大きな被害を受け、世界的に注目されるようになりました。

地理と行政

島は、北部のニアス県と南部の南ニアス県に分かれています。ニアス県の中心都市はグヌン・シトリで、ビナカ空港から車で数十分の場所に位置し、島唯一の国立病院や銀行などが集まっています。一方、南ニアス県の県都テルク・ダラムは港湾都市であり、ビーチリゾートのソラケがあります。島の地形は複雑で、スンダ海溝の分岐断層により東岸が沈降し、ニアス海盆が形成されています。島全体は森林に覆われていますが、近年は森林資源の減少が課題となっています。

経済

ニアス島の経済は、かつては自給自足が中心でしたが、近年は商品作物の栽培が増え、外部経済との結びつきが強まっています。主要な輸出品は、天然ゴム、コプラ、カカオ、ニラム油、コーヒー、丁子などです。島内では、水稲、陸稲、キャッサバ、バナナなどが栽培されています。

歴史

ニアス島に関する文献での初出は、815年のアラビア語文献とされています。17世紀にはイスラム教が伝わり、その後、オランダの植民地支配とキリスト教の布教が進められました。特にプロテスタントの普及は目覚ましく、ニアス語聖書の作成などの成果を上げました。1917年には、民族学者のシュローダーによって体系的な資料集が作成され、その資料はライデン国立民族学博物館に収蔵されています。

第二次世界大戦末期には、日本軍が一時的に駐留し、現在も塹壕跡などの施設が残っています。スハルト政権後、地方分権化が進み、2003年には島が二つの県に分割されました。近年では、2001年の洪水や地すべり、2004年と2005年の地震など、自然災害による被害が相次いでいます。

宗教

島民の多くはキリスト教（プロテスタント）を信仰しており、村には教会が必ずあります。プロテスタントの普及は19世紀後半から本格化し、現在では島民の大部分が信者です。カトリック[[教会]]も第二次世界大戦後に再開され、南部を中心に布教活動を行っています。一方で、17世紀ごろにはイスラム教も伝わり、グヌンシトリにはモスクが建設されました。

ニアス独自の宗教観も残っており、天神ロワランギ（善神）と地神ラトーレ・ダノ（悪神）の二神を中心とする信仰が各地で見られます。地震の神として知られるシレウェ・ナザラタ信仰も存在します。

文化と観光

ニアス島南部には、高床式の伝統的な木造家屋（Omo Hada）が点在し、石畳の路地や石造物が特徴的な村が形成されています。これらの伝統家屋は、世代を超えて修繕・増築され、現在でも使用されています。一部の村では、ジャンピングストーンなどの観光アトラクションも楽しめます。また、南部のソラケビーチは、サーフィンの名所として知られ、国際大会も開催されています。島内では、海産物や豚肉を使った料理が有名です。

交通

ニアス島へのアクセスは、ビナカ空港（グヌン・シトリ）からメダン・ポロニア空港への航空便を利用するか、グヌンシトリやテルクダラムからスマトラ島シボルガへの船便があります。

参考文献

Suzuki,P. (1959) The Religious System and Culture of Nias, Indonesia
Beatty,A. (1992) Soiety and Exchange in Nias
Dermawan, J. (2003) A study of Nias Revival in Indonesia Soiety

関連項目

スマトラ島
メダン
スマトラ沖地震

外部リンク

Nias Heritage Foundation
Nias Online
* 第2次ニアス島地震復旧支援検証&交流訪問報告

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