ニカラグア湖

ニカラグア湖：淡水の海と歴史の舞台

ニカラグア湖（Lago de Nicaragua）、またはコシボルカ湖（Lago Cocibolca）は、ニカラグアに位置する広大な淡水湖です。その面積は約8,029平方キロメートル、最長径は164キロメートルに及び、ラテンアメリカにおいてはチチカカ湖に次いで2番目に大きい湖であり、世界全体でも10番目に大きな淡水湖として知られています。

概要：淡水の海

地元の人々は、この湖を「Lago Cocibolca」または「Mar Dulce」（淡水の海）と呼びます。この別名が示すように、ニカラグア湖は、塩分を含まない点を除けば、まるで海のような特徴を持っています。特に、西から吹く太平洋からの東風によって、湖面にはまるで海のような波が立ちます。

湖内には、オメテペ島やソレンティナメ列島といった美しい島々が点在しています。最大の島であるオメテペ島には、特徴的な2つの火山がそびえ立っています。また、ニカラグア湖は、淡水域を遡上する珍しいオオメジロザメが生息することでも知られています。これらのサメは、湖から流れ出るサン・フアン川でよく見られます。

さらに、ニカラグア湖は、定期的に強力な暴風雨が発生することでも知られており、航行する際には注意が必要です。

地理と水路

ニカラグア湖は、マナグア湖からティピタパ川を通じて水が流れ込み、サン・フアン川を通じてカリブ海へと排水されます。この水路は、歴史的にも重要な役割を果たしてきました。かつて湖岸のグラナダは、大西洋への重要な港として機能していました。

しかし、ニカラグア湖の歴史には、カリブ海の海賊の出現も記録されています。彼らはサン・フアン川を遡り、湖に侵入して都市を襲撃しました。湖はカリブ海につながっていますが、その位置は太平洋に近く、湖の中のオメテペ島の山からは太平洋を望むことができます。

運河計画の歴史

パナマ運河が完成する以前、ニカラグアは太平洋と大西洋を結ぶ重要なルートでした。駅馬車線が狭い地峡を越え、小高い丘を抜けて太平洋へと続いていました。最初の大洋間運河の計画では、ニカラグア湖とサン・フアン川を利用したニカラグア運河の建設が検討されましたが、最終的にはパナマ運河が建設されることになりました。しかし、ニカラグア国内では、現在でも自国に運河を建設する計画が定期的に持ち上がっています。

ラムサール条約登録地

ニカラグア湖周辺の地域は、その生態学的価値が認められ、ラムサール条約に登録されています。南岸のサン・フアン川との間のロス・グアトゥソス地域は1997年に、東岸のサン・ミゲリートの湿地システムと北西岸のティスマ湖一帯は2001年にそれぞれ登録されました。これらの地域は、多様な動植物が生息する重要な湿地であり、ニカラグア湖の生態系を支えています。

ニカラグア湖は、その美しい景観、豊かな生態系、そして歴史的な背景から、ニカラグアにとってかけがえのない自然遺産です。

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