オオメジロザメ

オオメジロザメ：淡水に生きる最強の捕食者

オオメジロザメ（Carcharhinus leucas）は、メジロザメ科に属する大型のサメです。英名ではブルシャークと呼ばれ、日本ではウシザメの別名でも知られています。沖縄では「シロナカー」と呼ばれ親しまれてきました。全長は最大で3.4～4.0メートル、体重は300kgを超える個体も存在し、メジロザメ属の中でも特に大型の種類です。2012年にはフロリダで全長325cm、体重450kgという巨大なメスが捕獲された記録もあります。メスはオスよりも大きく、平均的な成魚ではメスが240cm、130kgほどであるのに対し、オスは225cm、95kgほどです。寿命はメスが約16年、オスが約12年とされています。

広範囲に及ぶ生息域：海から川へ、そして湖へ

オオメジロザメは、太平洋、インド洋、大西洋の熱帯から亜[[熱帯]]の海域に広く分布しています。驚くべきことに、汽水域のみならず、大河川やその上流にある湖沼といった淡水域にも生息することが知られています。アマゾン川流域では河口から4000kmも上流のペルー領イキートスでの目撃例があり、淡水域への適応能力の高さがうかがえます。その他、パナマ運河、ミシシッピ川上流2800km地点、ザンベジ川上流1200km地点など、世界中の様々な淡水域での生息が確認されています。 変わった例としては、オーストラリアのゴルフ場の池に洪水で流れてきたオオメジロザメが6匹も住み着いていたという報告もあります。日本では沖縄県での生息が知られていましたが、近年では宮崎県の大淀川河口付近でも確認され、生息域の拡大が示唆されています。

体の特徴と生態

オオメジロザメは、流線型の太く頑丈な体型をしています。吻は短く丸みを帯び、背側は灰色、腹側は白色です。種小名leucasは「白銀の」を意味し、沖縄の方言名「シロナカー」も、他のメジロザメに比べて体色が白いことに由来します。歯は上顎が正三角形に近い鋸歯状、下顎は直立する鋸歯状で、それぞれ24～29本が並んでいます。

オオメジロザメは胎生で、推定10～12ヶ月の妊娠期間を経て、全長56～81cmの仔ザメを一度に最大13匹出産します。成長速度は生後5年間が最も速く、年平均15～20cm成長します。その後は徐々に減速し、成魚になると年間4～5cm程度の成長となります。成熟年齢は雄が15～20歳（157～226cm）、雌が15～20歳（180～230cm）とされています。寿命は最大で32～50歳程度と推定されています。

オオメジロザメは河口や汽水域などの濁った水を好みますが、海から川を遡上し、淡水域に長期間生息することもあります。ただし、仔ザメは海で産卵すると考えられています。性格は非常に攻撃的で俊敏な動きをするため、南西諸島などでは海水浴場や港への進入も報告されており、注意が必要です。食性は幅広く、無脊椎動物、魚類、海鳥、海棲哺乳類、鯨の死骸など、あらゆるものを捕食します。水温26℃以上の環境を好み、水温変化に合わせて季節移動を行うことも知られています。通常は水深20m以浅をゆっくりと移動しますが、狩りの際には非常に速い動きを見せます。成魚になると、天敵はほとんどいません。

人との関わりと保全状況

オオメジロザメは、食用として利用され、身は冷凍、生鮮、燻製など様々な形で消費されています。ふかひれ、魚粉、革、肝油（ビタミンを多く含む）などの資源としても利用されています。延縄や刺し網などによって漁獲されるため、個体数の減少が懸念されており、IUCN（国際自然保護連合）によって「危急」と評価されています。特に、淡水域や汽水域では人間の活動の影響を受けやすいと考えられています。

水族館での飼育

沖縄美ら海水族館では、1978年からオオメジロザメの飼育を続け、世界最長の飼育記録を更新し続けています（2018年時点）。同水族館では2006年には水槽内での出産も確認されています。しかし、現在（2022年）は一般公開はされていません。以前は京急油壺マリンパークでも飼育展示されていましたが、2021年の閉館により、飼育は終了しています。

危険性

オオメジロザメは非常に危険なサメとして知られています。1996年には沖縄県宮古島で男性がオオメジロザメに襲われ死亡する事故が発生しています。海外でも人身事故の報告が多く、ホホジロザメやイタチザメと並んで、最も危険なサメの一つに数えられています。淡水域への侵入も相まって、襲われるリスクは非常に高いと言えます。2022年までに報告された人身事故は119件、うち26件が死亡事故です。

参考文献

(参考文献は省略)

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