ニギリ

囲碁におけるニギリ：先後を決める伝統的な方法

囲碁の対局では、互先（ハンディキャップなし）で行われる場合、先手（黒番）と後手（白番）を決める必要があります。その方法の一つとして古くから用いられているのが「ニギリ」です。ニギリは、運任せに先後を決める、いわば囲碁特有のじゃんけんのようなものです。

ニギリの手順

ニギリは、以下の手順で行われます。

1. 握る側と当てる側を決める: 通常、年長者が白石を握る側となり、もう一方が黒石で当てる側となります。
2. 白石を握る: 握る側は、任意の数の白石を片手で握ります。一般的には10個から20個程度です。握る石の数は、勝敗に影響しません。
3. 手を伏せて置く: 握った手を碁盤の上に伏せて置きます。この時点で、握っている白石の数は相手には見えません。
4. 黒石で当てる: 当てる側は、黒石を1個（奇数を示す）または2個（偶数を示す）を碁盤の上に置きます。同時に「奇数先」「偶数先」と宣言することもあります。
5. 白石の数を数える: 当てる側が黒石を置いたら、握る側は手を開き、握っていた白石の数を数えます。数えやすいように、白石を2列に並べて、最後に残った個数で奇数か偶数かを判断することもあります。
6. 先後を決める: 白石の数が奇数であれば、黒石を置いた側が先手（黒番）となります。偶数であれば、黒石を置いた側は後手（白番）となり、両者は白黒の順番を入れ替えます。プロの公式対局では、テレビカメラの撮影の関係上、碁石を交換する代わりに、席を移動して先後を決めることもあります。

ニギリ以外の先後決定方法

正式な対局ではニギリが用いられますが、非公式な場ではじゃんけんなど、他の方法で先後を決めることもあります。

類似の例

囲碁と同様の道具を用いる連珠でも、先後を決める方法としてニギリが用いられます。ただし、連珠のニギリは、囲碁とは少し異なるルールで、仮先後を決めるためのものとなります。また、オセロでは、ニギリをアレンジした「伏せ石」という方法で先後を決めることがあります。

ニギリの意義

ニギリは、先後を決めるだけでなく、対局の雰囲気を和ませる役割も担っています。互先対局では、先後どちらが有利かという議論は存在せず、ニギリによって公平に先後が決定されます。 また、シンプルな方法でありながら、対局前に少しばかりの緊張感と期待感を高める、伝統的な儀式としての側面も持ち合わせています。

まとめ

ニギリは、囲碁における先後決定方法として、長年にわたって受け継がれてきた伝統的な方法です。そのシンプルさと公平さから、現在でも広く用いられています。 一見単純な行為ですが、その奥には、囲碁の文化や歴史が凝縮されていると言えるでしょう。

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