先手

先手と後手：ゲームにおける優位性と戦略

2人交互に行うゲームにおいて、最初に手を打つプレイヤーを先手、後に手を打つプレイヤーを後手といいます。先手は「先番」「先手番」、後手は「後手番」とも呼ばれます。先手と後手を合わせて「先後」と言います。

ゲームの種類による先後と石の色

多くのボードゲームでは、先手と後手で石や駒の色が異なります。

囲碁、連珠: 先手が黒石、後手が白石を使用します。黒番、白番とも呼ばれます。
オセロ: 囲碁と同様に、先手が黒、後手が白です。ただし、表裏の塗り分けられた同種の石を使用します。
チェス: 先手が白駒、後手が黒駒を使用します。
シャンチー: 先手が赤字、後手が黒字（または緑字）の駒を使用します。
将棋: 駒の色は先後を区別しません。ただし、棋譜では先手が黒塗りの記号（☗、▲）、後手が白塗りの記号（☖、△）で表記されます。玉将のデザインが異なる場合がありますが、これは先後とは関係ありません。
カードゲーム: カードの位置でプレイヤーを区別し、先後の区別は通常ありません。

先後の決定方法

先後を決める方法はゲームによって異なります。

将棋: 振り駒を使用します。
囲碁: ニギリ（握り）という方法で行います。
チェス: 両者が白と黒のポーンを隠し持ち、相手がどちらかを選ぶ方法（トス）や、じゃんけんを使用する方法などがあります。
非公式なゲーム: じゃんけんで勝者が先手を選ぶことも多いです。

将棋や囲碁でハンデ戦を行う場合、「上手」「下手」という表現を用います。駒落ちの将棋では、駒を落とした側が上手、囲碁の置き碁では黒石を置いた側が上手となり、上手から指し始めます。

先後の優位性

二人零和有限確定完全情報ゲームでは、先手または後手に必勝法（または引き分けの非敗法）が存在します。例えば、6×6マスのオセロは後手必勝、五目並べは先手必勝です。必勝法が不明なゲームでも、一方に有利な場合はハンデキャップが設けられます（例：囲碁のコミ）。

局面での先後

囲碁や将棋では、一局全体の先後とは別に、局面における先後も重要です。

囲碁:

相手の着手に対して、離れた場所に打つことで大きな利益を得られる場合、その手を「先手」と呼びます。相手はそれを防ぐ手を「後手」で受けます。しかし、より大きな利益を得られる場所があれば、先手を放棄することもあります（コウ参照）。「利かしは惜しまず含みは残せ」という格言は、先手の機会を逃さず、複数の選択肢を残すことの重要性を示しています。終盤のヨセでも同様の「先手ヨセ」「後手ヨセ」があります。「後の先」という戦法は、一時的に後退することで将来の利益を得る戦略です。

将棋:

不利益（王手など）を回避するために、指し手を避けることができない局面を作り出す側を「先手」、そうした局面に置かれた側を「後手」といいます。「先手を取る」「手番を握る」「後手を引く」といった表現も用いられます。王手は先手を取れるものの、相手の王将を逃がすような王手は悪手とされます。

慣用句

囲碁で、格下のプレイヤーがコミなしで先手番をとることを「一目置く」といいます。これは、相手の優位を認めるという意味で、一般的に「相手を敬う」という意味でも使われます。

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