ニケタス・コニアテス

ニケタス・コニアテス（1150年 - 1213年）は、東ローマ帝国およびニカイア帝国で活躍した政治家であり、歴史家としても著名な人物です。中世ギリシャ語の発音ではニキタス・ホニアテスと読みます。

生涯

ニケタスは、現在のトルコ西部に位置するフリュギア地方のコーナイという都市で、貴族の家柄に生まれました。幼少期にはコンスタンティノポリスにいた神学者の兄、ミカエル・コニアテスの薫陶を受け、学問の基礎を築きました。兄弟はやがて文人としても名を馳せるようになります。

政治家としてのニケタスは、フィリッポポリス（現在のプロヴディフ）の知事を務めていた際、第3回十字軍の通過に遭遇します。皇帝イサキオス2世アンゲロスと神聖ローマ皇帝フリードリヒ1世との間に生じた対立が深刻化し、フリードリヒ1世がフィリッポポリスを攻撃するという事態に発展しましたが、ニケタスはこれを防衛しました。その後、宮廷秘書官や大法官といった重要な役職を歴任し、国政に深く関与しました。

1204年、第4回十字軍によるコンスタンティノポリス襲撃という未曾有の危機に際しては、ニケタス自身も生命の危機に晒されましたが、懇意にしていたヴェネツィア商人の助力により、辛くも都を脱出することができました。その後、ニカイアに落ち着き、以後は執筆活動に専念しました。

ニケタス・コニアテスは、中世東ローマ帝国において最も優れた歴史家の一人とされています。

著作

ニケタスの代表的な著作としては、以下の2つが挙げられます。

『年代記』（Chronike Diegesis、全21巻）: コムネノス王朝とアンゲロス王朝の歴史を詳細に記述したものです。東ローマ帝国側から見た十字軍の姿を描写しており、当時の情勢を知る上で貴重な資料となっています。
『正統信仰の宝』（Thesauros Orthodoxfas、全27巻）: 12世紀後半の正教会の会議に関する記録であり、神学書としての側面も持っています。当時の正教会の教義や議論の内容を知ることができます。

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