ニコポル

ブルガリア北部に位置するニコポル（ブルガリア語: Нико̀пол）は、プレヴェン州に属する歴史ある町です。古代ギリシャ語やラテン語ではニコポリス（Nicopolis）と呼ばれ、「勝利の町」を意味するその名は、この地がたどってきた数々の歴史的出来事を予見するかのような響きを持っています。町はドナウ川の右岸に位置し、オスム川の河口から約4キロメートル下流にあります。ドナウ川に面した急峻な白亜質の崖の下の平坦な土地と、そこから南へと細長く続く渓谷沿いに市街地が広がっています。

歴史

ニコポルの歴史は古く、古代ローマ時代には既にこの地はモエシア属州の一部であり、紀元169年には文献にその存在が記録されています。ローマ帝国の勢力が衰退すると、ニコポルは東ローマ帝国の北方における重要な拠点となりました。1059年に「勝利の町」を意味するギリシャ語の「ニコポリス」という名が正式に与えられたとされています。

中世を通じて、この町はブルガリア帝国の領域に長く留まりました。特に1393年に帝国の首都タルノヴォが陥落した後、ブルガリア帝国の最後の皇帝イヴァン・シシュマンは、ニコポリスの堅固な要塞に残された領土を託し、オスマン帝国に対する最後の抵抗を試みました。しかし、1395年にニコポルはオスマン帝国の手に落ち、皇帝自身も捕らえられ、この地で最期を迎えたとされています。このため、ニコポルはブルガリア帝国の終焉期において、事実上の最後の首都としての役割を担ったと言われています。

ニコポルは、中世ヨーロッパにおける最後の大規模な十字軍遠征の舞台ともなりました。1396年に行われた「ニコポリスの戦い」です。ハンガリー王ジギスムントやフランスの騎士たちによって組織されたヨーロッパのキリスト教諸国の連合軍が、オスマン帝国のバヤズィト1世とその同盟者であるセルビアのステファン・ラザレヴィッチ率いる軍と、このニコポリスの要塞周辺で激突しました。この戦いはオスマン帝国側の圧勝に終わり、十字軍の大きな挫折として歴史に刻まれました。

オスマン帝国による統治下では、ニコポルはその戦略的な立地から、強固な要塞を備えた重要な軍事および統治の中心地として発展しました。経済的にも、そして精神的・政治的にも一時期は繁栄を享受しましたが、17世紀から18世紀にかけて徐々に衰退の道をたどります。かつては地域行政の中心（kaza）でしたが、その地位は近隣のプレヴェンに取って代わられました。ニコポルは、1877年の露土戦争における「ニコポルの戦い」を経て、ロシア帝国の軍によって制圧されました。

宗教的には、カトリック教会のニコポリ司教区がブルガリア北部全域を管轄しており、かつてはこのニコポルに司教座が置かれていましたが、現在はルセに移転しています。

現代

現代のニコポルは、2008年時点でおよそ4,255人が居住する町です。ニコポル自治体の行政の中心地として機能しており、地域の行政サービス提供の中心となっています。現在、ドナウ川を挟んで対岸にあるルーマニアのトゥルヌ・マグレレとを結ぶためのカーフェリー接岸施設の建設が進められており、両国間の交通結節点としての役割が期待されています。近年では、2006年のヨーロッパを襲った大規模な洪水によって、町の一部が浸水する被害を受けました。

その他

ニコポルは、ロシアのシャーフトィと姉妹都市協定を結んでいます。

この町には、前述のブルガリア帝国最後の皇帝イヴァン・シシュマン（1395年死去）、ニコポリスの戦いで戦死したフランスの将軍ジャン・ド・ヴィーヌ（1396年死去）、同じく戦死したフランスの騎士ジャン・ド・カルージュ（1396年死去）など、歴史上の重要人物にゆかりがあります。

また、南極大陸のサウス・シェトランド諸島、リヴィングストン島にあるニコポル岬（Nikopol Point）は、このブルガリアの町ニコポルにちなんで命名されています。

ニコポル基礎自治体は、中心であるニコポルを含め複数の集落から構成されています。

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