ルセ

ブルガリアのドナウ川沿いに輝く都市、ルセ

ルセは、ブルガリア北部のドナウ川に面した都市で、ルーマニアのジュルジュと国境を接しています。その歴史は古く、古代ローマ帝国の時代から重要な拠点として発展してきました。ブルガリア第5の都市であり、ルセ州の州都として、現在も重要な役割を担っています。

歴史

古代

ルセの地には、紀元前からトラキア人の集落が存在していました。その後、ローマ帝国がこの地を支配し、「60の船の町」を意味する「Sexaginta Prista」という軍事拠点を築きました。ルセはベオグラードとドナウ・デルタを結ぶ要衝として栄えましたが、6世紀にはアヴァール人の侵入によって破壊されました。

第二次ブルガリア帝国とオスマン帝国

13世紀から14世紀にかけて、ルセは第二次ブルガリア帝国の統治下に置かれ、「ルシ」または「ゴリャーム・ヨルゴヴォ」と呼ばれる集落が形成されました。1388年にはオスマン帝国に併合され、「ルスチュク」として再建されました。オスマン帝国時代には、ドナウ川地域における重要な拠点として発展し、帝国のドナウ州の州都となりました。ルセはブルガリアにおける民族復興運動の中心地としても重要な役割を果たしました。

ブルガリア解放以降

1878年にブルガリアがオスマン帝国の支配から解放されると、ルセはブルガリアの経済・文化の中心地として急速に発展しました。ブルガリア初の民間銀行、保険会社、商工会、映画、鉄の船、気象観測所などがルセで誕生し、「ブルガリア初」のものが数多く生まれました。

第二次世界大戦と共産党支配

第一次世界大戦と第二次世界大戦の間、ルセの経済的重要性は低下し、人口も減少しました。しかし、1940年に南ドブロジャがブルガリアに復帰すると、ルセは再び地域の中心となり、経済活動が復興しました。1955年には、ルーマニアのジュルジュとの間にルセ・ジュルジュ友好記念橋が建設され、物流、経済、文化の一大拠点として再び発展しました。

共産主義体制崩壊と民主化

1980年代には、対岸のジュルジュに建設された工場による大気汚染が深刻化し、ルセの人口が減少しました。1989年の共産主義体制崩壊後、工場は操業を停止しましたが、1990年代には経済危機がブルガリアを襲い、ルセも大きな影響を受けました。2000年代に入り、経済が復興に向かうとともに、ルセも再び発展を続けています。

文化

ルセには、ブルガリア交通博物館や地域歴史博物館などの博物館や美術館があります。また、至聖三者教会や生神女教会などの宗教的建造物も多く存在します。イヴァノヴォの岩窟教会群は、世界遺産にも登録されています。

ルセでは、5月音楽デーや聖ゲオルギの日などの恒例行事も開催され、多くの人々が訪れます。

著名な出身者

ルセは、ノーベル文学賞を受賞したエリアス・カネッティをはじめ、多くの著名な人物を輩出しています。アルバート・アフタリオン、ターニュ・キリャコフ、ネシュカ・ロベヴァなどもルセ出身です。

姉妹都市

ルセは、ヴォルゴグラード、サン＝トワン、ジュルジュなど、多くの都市と姉妹都市提携を結んでいます。

ルセは、その豊かな歴史と文化、そして美しいドナウ川の風景が魅力的な都市です。ブルガリアを訪れる際には、ぜひルセに足を運んでみてください。

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