ニコライ・ボブリコフ

ニコライ・イワノヴィチ・ボブリコフ（1839年1月15日 - 1904年6月17日）は、帝政ロシアの軍人、政治家です。フィンランド総督として、フィンランドのロシア化政策を強行したことで知られています。

経歴

サンクトペテルブルクで生まれたボブリコフは、1858年にロシア帝国軍に入隊し、軍人としてのキャリアをスタートさせました。カザン軍管区ではノヴゴロドの師団参謀長を務め、1869年には大佐に昇進。翌年には近衛連隊に勤務となり、サンクトペテルブルクへ転出しました。この近衛連隊勤務は、ボブリコフに宮廷との接触の機会をもたらし、彼の出世の足がかりとなりました。1878年には少将に昇進しています。

1898年、ボブリコフはニコライ2世によってフィンランド総督に任命されました。しかし、彼の総督としての統治は、フィンランド国民から強い反発を受けることになります。ボブリコフはフィンランド国民から恐怖と憎悪をもって迎えられました。

1899年、ニコライ2世は二月詔書に署名しました。この詔書は、フィンランドの自治権を侵害するものであり、高揚するロシア・ナショナリズムを背景に、ロシア帝国の法律がフィンランドの法律に優先するという内容でした。1809年にロシアの保護国となったフィンランドは、一定の内政自治を認められていましたが、二月詔書によってその自治が大きく損なわれることになりました。フィンランド人は二月詔書に強く反発し、50万人の署名を集めてニコライ2世に詔書の撤回を請願しましたが、皇帝は使節団との謁見を拒否しました。

ボブリコフ総督は、1900年にフィンランドの官庁に対して全公文書のロシア語化を指令し、学校教育におけるロシア語教育の徹底を指示しました。さらに1901年にはフィンランド軍を廃止し、フィンランドにおける募兵をロシア全土に赴任させることを可能にしました。1905年にはフィンランドにおける徴兵制そのものが廃止されました。

1903年、ボブリコフはフィンランドにおいて独裁的な権限を付与され、官吏の人事権や新聞の停止権などを掌握しました。彼の強権的な統治は、フィンランド国民の不満をさらに高めることになりました。

1904年6月16日、ボブリコフはフィンランド民族主義者のオイゲン・シャウマンによって暗殺されました。シャウマンはボブリコフに3発の銃弾を浴びせ、ボブリコフは病院に運ばれましたが、その日の夜に死亡しました。シャウマンは銃撃後、自決しました。

ボブリコフの暗殺は、フィンランドにおけるロシア化政策に対する抵抗の象徴的な出来事として記憶されています。

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