ニコラス (DD-449)

USSニコラス(DD/DDE-449)

USSニコラス(DD/DDE-449)は、アメリカ海軍のフレッチャー級駆逐艦の一隻であり、その艦名はアメリカ海兵隊の前身である大陸海兵隊の総司令官、サミュエル・ニコラスに由来します。ニコラスの名を持つ艦としては二代目にあたります。

特筆すべきは、第二次世界大戦での16個、朝鮮戦争での5個、ベトナム戦争での9個という、合計30個の従軍星章を受章したことであり、これはアメリカ海軍の艦艇の中で最多の記録です。殊勲部隊章も受章しており、その戦歴は非常に輝かしいものでした。

艦歴

1941年3月3日にメイン州のバス鉄工所で起工されたニコラスは、姉妹艦と比較してやや長い工期を経て、1942年2月19日に進水。同年6月4日に竣工し、ウィリアム・D・ブラウン少佐の指揮下で就役しました。

太平洋艦隊に配属されたニコラスは、ソロモン諸島の戦いに参加。1943年1月には第67任務部隊に加わりました。同年2月1日には、九九式艦上爆撃機による急降下爆撃を受け、至近弾により損傷。2名の乗員が戦死しました。

3月には第21駆逐戦隊の旗艦となり、ソロモン諸島各地で地上砲撃や哨戒任務に従事。クラ湾夜戦、コロンバンガラ島沖海戦、ベララベラ海戦などの激戦に参加しました。コロンバンガラ島沖海戦では、日本の第二水雷戦隊と交戦。敵旗艦「神通」を撃沈する戦果を挙げました。

1944年に入ると、ニコラスは再び西太平洋での対日作戦に参加。船団護衛や艦隊護衛、ニューギニアの戦いやボルネオの戦い、フィリピンの戦いでの地上砲撃など、多岐にわたる任務に従事しました。また、伊75、伊38の2隻の日本海軍潜水艦を撃沈し、対潜戦でも成果を挙げました。

終戦後、1946年6月12日に一旦退役しましたが、1951年2月19日に護衛駆逐艦として再就役。朝鮮戦争に参戦し、その後も西太平洋への巡航を続けました。1959年12月から1960年7月にかけてはFRAM II改修を受け、対潜能力を強化しました。

ベトナム戦争にも参加し、南シナ海での作戦活動に従事。1962年6月30日に再び駆逐艦に艦種が戻され、1965年3月には南シナ海に展開。マーケットタイム作戦に参加し、南ベトナムの海岸線の偵察に従事しました。1968年にはNASAのアポロ計画を支援し、アポロ7号とアポロ8号のカプセル回収任務に参加しました。

1962年には海軍最古の駆逐艦となっていたニコラスは、1970年1月30日に退役。その退役式典には、姉妹艦オバノンが並びました。その後、1972年に解体されました。

その他

ニコラスはフレッチャー級の中でも特に高速な艦であり、公試運転では37.1ノットを記録。FRAM改装後もその高速性能は維持されていました。

数々の戦いを生き抜き、数多くの殊勲を受章したUSSニコラス。その輝かしい戦歴は、アメリカ海軍の歴史に深く刻まれています。

もう一度検索