ニッチツ

株式会社ニッチツの概要

株式会社ニッチツ（NITCHITSU CO., LTD.）は、東京都港区に本社を構える企業であり、東京証券取引所に上場しています。同社は、戦前の日窒コンツェルンをルーツとする企業の一つで、その歴史は1929年（昭和4年）に設立された朝鮮鉱業開発株式会社にまで遡ります。

黎明期

1935年（昭和10年）4月23日、日窒鉱業株式会社が設立されました。その後、1940年（昭和15年）には日窒鉱業開発株式会社に改称し、日本国内での鉱業開発も行うようになりました。しかし、第二次世界大戦の敗戦により在外資産を失い、財閥解体によって日窒コンツェルンも解体されました。戦後の1950年（昭和25年）、日窒鉱業株式会社が新会社として設立され、旧日窒鉱業開発の日本国内の鉱業事業を継承しました。

江迎炭鉱と機械化

継承した鉱山の中でも、長崎県北松浦郡江迎町にあった江迎炭鉱は、国内でも数少ない強粘結炭を産出していました。しかし、炭層が薄く採炭環境が劣悪であったため、国内の他社に先駆けて機械化が進められました。採炭補助機械の導入に加え、1956年（昭和31年）には採炭と搬出を一体的に機械化するホーベル採炭を国内で初めて導入し、日本初の完全機械化採炭を実現しました。

事業の多角化

1960年代以降のエネルギー革命により炭鉱が閉山されると、ニッチツは石灰石や珪石などの鉱山経営や資源関連事業を継続する一方、鉱山機械関連技術を応用した船舶・プラント向けの機械や構造物などの機械関連事業を展開しました。主力事業の変化に伴い、1973年（昭和48年）に日窒工業株式会社に、1989年（平成元年）には株式会社ニッチツへと社名を変更しました。

近年の動向

2005年（平成17年）には、機械部門の松浦工場で製造される船舶構造物（船殻ブロックなど）が、ハッチカバーに関して日本海事協会（NK）の製造事業所承認を取得しました。しかし、2022年9月30日をもって、結晶質石灰石の採掘・加工・販売事業を終了しました。

沿革

1941年（昭和16年）：日窒鉱業開発が鉱山統制組合に参画（社長：野口遵）。
1950年（昭和25年）8月1日：日窒鉱業株式会社設立。
1973年（昭和48年）6月：日窒工業株式会社に商号変更。
1989年（平成元年）10月：株式会社ニッチツに商号変更。

事業内容

ニッチツは、以下の事業を多角的に展開しています。

機械関連事業：舶用機器、空気予熱機などの一般産業機械の設計・製作、プラント関連機器の製作、機械装置の据付・施工・監理
資源関連事業：ハイシリカ（精製珪石粉など）の製造・販売、珪砂の仕入・販売、砂利、砂、砕石の仕入・販売
その他：耐熱塗料の製造・販売、ライナテックス（高純度天然ゴム）の仕入・加工・販売、オフィスビルの賃貸業務

事業拠点

ニッチツの主な事業拠点は以下の通りです。

機械関連事業
松浦工場（長崎県）
江迎工場（長崎県）
資源関連事業
鹿町工場（長崎県）
江迎工場（長崎県）
秩父鉱山（埼玉県）- 2022年9月30日閉山

脚注

参考文献：中外商業新報 ([1941年]]11月30日). “鉱山統制組合にも設立命令を発出 十二月二十八日迄に創設”. 経済経営研究所. 神戸大学. [https://hdl.handle.net/20.500.14094/0100197452

関連項目

秩父鉱山
土倉鉱山 - 1965年に閉山した銅山

外部リンク

公式ウェブサイト

株式会社ニッチツは、鉱業から機械、そして多角的な事業展開へと変遷を遂げてきた企業です。その歴史と事業内容から、日本の産業発展の一翼を担ってきたことが伺えます。

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