江迎町

長崎県佐世保市江迎地区：歴史と文化が息づく地域

はじめに

佐世保市江迎地区は、長崎県北部の北松浦半島中北部に位置する地域です。2010年3月まで、独立した町として存在していましたが、現在は佐世保市に編入されています。古くから交通の要衝として栄え、豊かな自然と歴史、そして独自の文化を育んできました。この記事では、江迎地区の地理、歴史、文化、交通、そして著名な出身者などを紹介します。

地理

江迎地区は、佐世保市の中心市街地から北西へ約20kmの場所に位置し、江迎川が東西に貫流しています。北西部は江迎湾に面し、北部と南部は丘陵地が広がる変化に富んだ地形です。

歴史

近世以前

江迎は古くから交通の要衝として栄え、江戸時代には平戸藩の重要な拠点として、平戸往還の本陣が置かれていました。

近現代

1889年（明治22年）の町村制施行により、長坂村と猪調村が合併して江迎村が誕生しました。1940年（昭和15年）には町制を施行し、江迎町となりました。北松炭田として石炭産業も盛んで、町内には複数の炭鉱が存在していましたが、1960年代に閉山しました。

1949年（昭和24年）には、昭和天皇が行幸啓行され潜竜炭鉱を訪問されました。1955年（昭和33年）には、隣接する田平町（現・平戸市）の一部地域を編入しています。そして、2010年（平成22年）3月31日、江迎町は鹿町町とともに佐世保市に編入合併し、自治体としては消滅しました。旧江迎町役場は、佐世保市役所江迎行政センター、その後、佐世保市役所江迎支所と改称されています。

行政

江迎町時代には、町長は公選でした。歴代の町長は、小林知一氏、馬場鉄治氏、森澤賢司氏、亀山春光氏（2期）、松田弘明氏、そして再び亀山春光氏と、地域の発展に尽力した方々が務めました。警察は江迎警察署が管轄していました。

産業

かつては石炭産業が盛んでしたが、現在は農業が中心となっています。近年では、町おこしの一環として、「えむかえ繭玉」をモチーフにした縮緬細工が注目されており、地域住民による「花手まり」という団体が手毬きめ込み人形などを制作し全国に発信しています。

教育

江迎地区には、江迎中学校と江迎小学校、猪調小学校があります。教育機関を通じて地域社会の発展に貢献しています。

交通

最寄りの空港は長崎空港です。鉄道は松浦鉄道西九州線が走っており、すえたちばな駅、高岩駅、いのつき駅、潜竜ヶ滝駅などがあります。江迎地区の中心駅とされていた江迎鹿町駅は、旧鹿町町に位置しています。バス路線は西肥自動車が中心で、佐世保市や平戸市を結ぶ路線が運行されています。

医療

北松中央病院は、旧江迎町が設置した地方独立行政法人です。地域住民の健康を守る重要な役割を担っています。

名所・旧跡・観光スポット

江迎地区には、潜竜ヶ滝や高岩（いずれも平戸八景に数えられる）、白岳自然公園、江迎本陣跡（県史跡）など、歴史的な名所や美しい自然があります。「肥前江迎繭玉まつり」や「千灯籠まつり」などの地域イベントも開催され、多くの観光客を惹きつけています。

著名な出身者

江迎地区からは、漫画家の新條まゆ氏、元衆議院議員で西肥自動車社長でもあった中村弘海氏、三角形にこだわった奇人として知られる徳田真寿氏、元衆議院議員の松田九郎氏など、様々な分野で活躍する方々が輩出しています。

まとめ

佐世保市江迎地区は、歴史と自然、そして独自の文化が調和した魅力的な地域です。かつて独立した町として発展を遂げ、現在は佐世保市の一地域として、新たな発展を続けています。今後とも、地域住民の努力と創意工夫によって、更なる発展が期待されます。

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