ニッポノサウルス

ニッポノサウルスとは

ニッポノサウルス（学名：Nipponosaurus）は、日本で初めて発見されたハドロサウルス科の恐竜であり、約8,300万から8,000万年前の白亜紀後期に生息していたと考えられています。1934年に樺太の川上村竜ヶ瀬層群で発見され、現在でも多くの研究が続けられています。ニッポンリュウとも呼ばれ、その名前からわかるように、日本の恐竜として重要な地位を占めています。

発見の経緯

ニッポノサウルスの化石は、三井鉱山川上炭鉱内の病院建設現場で掘り出されました。命名者は北海道帝国大学の教授である長尾巧で、発見された化石は頭骨の一部、骨盤、腰椎、後脚など、全身の約40%に及びます。この化石は白亜紀形成の海成層から見つかっており、恐竜が死後に海辺に移動したか、あるいは海岸で亡くなった可能性が考えられています。ニッポノサウルスは、日本人によって初めて記載された恐竜でもあり、模式標本は現在、北海道大学に保管されています。

形態的特徴

ニッポノサウルスは、体長約4メートル、体重は約1トンと推定されていますが、近年の研究では、これは幼体のデータであり、成体はさらに大きくなる可能性があることが示唆されています。特に、トサカが小さいことが確認されており、特有の形態を持っています。脚の大腿骨には、腱を通すための深い溝があり、高速で走行するための適応が見られます。また、坐骨先端の突起から、ランベオサウルス亜科に近いとの判断が下されています。

研究の歴史

ニッポノサウルスの発見から70年近く、研究は停滞していましたが、2000年代に入ってから北海道大学の大学院生による再研究が行われました。彼らはこの恐竜が亜成体であり、北米の恐竜と近い関係にあると仮説を立てました。さらに2017年には別の院生が、最低でも3歳であり、ヨーロッパの種に近いとする新たな仮説を提唱しました。

全身復元も行われ、2000年には3体の復元モデルが作成され、北海道大学、国立科学博物館、福井県立恐竜博物館に展示されました。その後、北海道大学の骨格は再検証され、4号骨格がサハリン州郷土博物館に送られています。

参考文献

• - 伊地知英信『日本にも恐竜がいた』
• - 平山廉『恐竜の謎』
• - 小畠郁生『面白いほどよくわかる 恐竜』
• - 犬塚則久『恐竜ホネホネ学』
• - 前田直子、小林大作、新本梨華『やりすぎ恐竜図鑑 なんでここまで進化した!?』

このように、ニッポノサウルスは日本における恐竜研究の先駆けとなった重要な存在であり、今後の新たな発見や研究に期待が寄せられています。

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