ニハーヴァンド

ニハーヴァンド：古代都市から音楽の旋律まで

ニハーヴァンド（نهاوند）は、イラン西部のハマダーン州に位置する都市です。ハマダーンの南、マラーイェルの東、そしてボルージェルドの北西に位置し、古代イランの中心地の一つとして栄えました。クテシフォンの東、スーサの北、ペルセポリスの北西という地理的な位置関係からも、その重要性が伺えます。ニハーヴァンドは、イランの中でも特に古い歴史を持つ街の一つとして知られています。

人口

2005年の人口推計では約77,206人、2006年の調査では約72,218人と報告されています。

位置情報

ニハーヴァンドのおおよその位置は以下の通りです。

緯度：34°11′31″N (34.1919444)
経度：48°21′57″E (48.3658333)

ただし、これはあくまで中心点の一例であり、測定方法によって若干の差異が生じる可能性があります。

表記

ペルシア語では نهاوند と表記されます。ラテン文字への転写には、Nahâvand、Nahaavand、Nahawand など、複数のバリエーションがあります。ヨーロッパの文献では、Nahavend、Nehavand、Nihavand、Nehavend といった綴りも見られます。

歴史

ニハーヴァンドは、アケメネス朝のダレイオス一世によって建設されました。642年には、イスラム教徒のアラブ軍とサーサーン朝軍が激突した「ニハーヴァンドの戦い」の舞台となりました。この戦いでサーサーン朝軍は壊滅的な打撃を受け、その後のイスラム勢力によるペルシア征服を決定づけることとなりました。

ニスバ（由来地名）を持つ人々

イスラム圏の人名に見られるニスバ（出自由来名）にニハーヴァンドが含まれる人物も存在します。ニスバは必ずしも本人の出身地を示すとは限りませんが、一族のルーツを知る手がかりとなります。

ベンジャミン・ナハワンディ：中世初期のユダヤ教カライ派の学者。
アフマド・ナハヴァンディ：8世紀の天文学者。グンデシャープール大学で教鞭をとりました。

音楽

アラブ古典音楽やトルコ古典音楽には、「ナハーワンド(Nahawand)」、「ニハーヴェンド(Nihavend)」という名前の音階・旋法（マカーム）が存在します。これらの名称は、この地名ニハーヴァンドに由来しています。音楽の世界にもその名を残していることは、ニハーヴァンドの文化的影響力を示す一例と言えるでしょう。

ニハーヴァンドは、古代から現代に至るまで、様々な歴史的出来事や文化に深く関わってきた都市です。その名は、遠く離れた音楽の世界にも響き渡り、人々にその存在を伝えています。

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