ニューヨーク市地下鉄R211形電車

ニューヨーク市地下鉄R211形電車

概要

ニューヨーク市地下鉄が保有するR211形電車は、4扉の通勤型電車で、2023年3月10日に営業運転を開始しました。この電車シリーズは、基本形のR211A形、スタテンアイランド鉄道向けのR211S形、広幅の貫通路を持つR211T形の3つのバリエーションから成ります。これらは、老朽化したR32形やR42形の置き換えを行うために導入され、旅客サービスの向上やバリアフリー化の促進を目的としています。

R211形車両は、基本契約535両とオプション契約からなる1,610両が予定され、契約総額は約37億ドルに達します。これにより、既存のR44形やR46形を更新し、各種の地下鉄路線でのサービス改善を図ります。契約は2018年1月に川崎重工業によって締結され、その後も製造が進められています。

車両のデザイン

R211形は、R32形以来のステンレス製無塗装車体を基本に、運転台部分にはファイバーグラス製の銀色と青色の塗装が施されています。外観デザインは約20年ぶりに刷新され、前照灯はLED式に改良されるなど、近代的な印象を与えています。特に、ラッシュ時の停車時間短縮を図るため、客用扉は広幅化されており、その結果、約25%から30%の停車時間の短縮が実現される見込みです。

R211T形モデルは、乗客が車両間を自由に移動できる広幅貫通路を採用し、流動性の向上に寄与しています。また、連結部が幌で覆われているため、地下鉄サーフィンなどの危険行為の防止にも重要です。

内装の特徴

内装も約20年ぶりにリニューアルされ、青色が基調の座席デザインが採用されています。優先席や車いす・ベビーカースペースの折り畳み座席には黄色が使用され、視認性を高めています。また、握り棒はループ型になっており、便利で快適な移動をサポートします。

車内案内表示装置は大型液晶ディスプレイに変更され、運行情報やバス乗換、エレベーターの位置などを分かりやすく表示します。タッチパネル機能付きの路線図も導入され、ズームインやズームアウトに対応しています。安全対策としては、防犯カメラを搭載し、より安心な移動環境を提供します。

技術仕様

電装品はアルストムが製造しており、VVVFインバータ制御や、かご形三相誘導電動機を採用しています。全電動車となっていますが、先頭車両の一部には主電動機が装備されていません。空調装置は三菱電機製で、従来品に比べて20%の小型化と軽量化が実現されています。

開発と導入の流れ

R211形の設計は2011年にMTAによって承認され、2015年の投資計画によって新しい仕様が決定されました。2018年には川崎重工業が製造契約を獲得し、基本契約分の車両は2020年から2023年にかけて納入される見込みとなっています。

しかし、新型コロナウイルスの影響や部品供給の遅れにより、納入スケジュールには影響が出ています。最初のR211A形車両は2021年7月に納入され、その後も試作車両が順次導入されています。2023年にはR211S形車両の営業運転も始まる予定です。

営業運転と今後の展望

R211A形の営業運転は2023年3月から開始され、正式に運行が始まったのは2023年6月29日です。しかし、運行停止が発生するなどの問題もありました。これらの問題はMTAによって修正され、2024年には新しいモデルも多く配置される予定です。

R211T形は2024年2月1日よりC系統で運行を開始し、R211S形についてはさらに遅れる見込みがあります。新型車両による快適な移動と改善されたサービスが期待されています。

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