ラスティ・イーガン

ラスティ・イーガンは、1957年ロンドン生まれのドラマーであり、イギリスのニュー・ウェイヴバンド、リッチ・キッズの元メンバーとして知られています。リッチ・キッズは、グレン・マトロック（元セックス・ピストルズ）、スティーヴ・ニュー、ミッジ・ユーロ、そしてイーガンという編成で、1977年から1978年まで活動しました。

リッチ・キッズ解散後も、イーガンはユーロとの協力を続け、ザ・ミスフィッツ、ザ・スキッズ、ショック、ヴィサージなどのバンドに関わりました。しかし、2004年のヴィサージ再結成には参加していません。

イーガンの音楽キャリアにおける重要な転換期は、1979年から1981年にかけて、スティーヴ・ストレンジと共にロンドンのナイトクラブ「ブリッツ」でDJを務めたことです。ブリッツはニューロマンティック・ムーブメントの中心地であり、イーガンはそこでクラフトワーク、イエロー・マジック・オーケストラ、ブライアン・イーノ、ウルトラヴォックス、ランドスケイプといった、当時としては先鋭的な電子音楽やシンセポップを積極的にプレイしました。彼は、これらの音楽をイギリスのクラブシーンに紹介し、ニューロマンティックのサウンドを確立する上で大きな役割を果たしました。

また、イーガンはニューロマンティック時代を象徴するレコード店「The Cage」をロンドンのキングス・ロードに開設し、クラブとレコード店の両方を通じて、音楽シーンに大きな影響を与えました。ブリッツの人気が高まるにつれて、イーガンはロンドンのナイトライフにおける重要人物として認識されるようになりました。

1982年には、ストレンジと共にカムデン・パレス（後のKOKO）にナイトクラブを開き、イギリスにおけるエレクトロニカの発展を推進しました。その後は、レコードプロデューサーとして活動し、かつてDJとしてプレイしていたバンド、スピアー・オブ・デスティニー、ショック、ヴィサージ、ザ・セネトなどの作品を手がけました。

インターネットの普及により、音楽の共有が容易になると、イーガンはDJとしての活動を再開しました。現在も、1980年代のスタイルによるシンセポップや電子音楽を中心にプレイし、その普及に努めています。

2008年にはワイト島音楽祭に出演し、2009年にはリヴィングTVの番組にスティーヴ・ストレンジと共に出演しました。同年、ロンドン・クラブ&バー賞で生涯功労賞を受賞しています。

2011年、イーガンとストレンジは、かつてのブリッツがあった場所で「Return to the Blitz」というイベントを開催し、往年の雰囲気を再現しました。このイベントには、パラダイス・ポイントやクイラ・コンスタンスなどのアーティストが出演し、イーガン自身もDJプレイを披露しました。

ラスティ・イーガンは、ドラマー、DJ、プロデューサー、クラブ経営者として、イギリスの音楽シーン、特にニューロマンティックとエレクトロニカの発展に大きく貢献した人物です。

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