バーナード・サムナー

バーナード・サムナー：ニュー・オーダーの顔と、その波乱に満ちた人生

バーナード・サムナー（Bernard Sumner、1956年1月4日-）は、イギリス・グレーター・マンチェスターのサルフォード出身のミュージシャンです。愛称はバーニー。ニュー・オーダーの中心人物として知られる一方、その人生は複雑な過去と、音楽に対する揺るぎない情熱によって彩られています。

ジョイ・ディヴィジョンからニュー・オーダーへ

1976年、ピーター・フック、イアン・カーティスと共にポストパンクバンド、ジョイ・ディヴィジョンを結成。当初はギターを担当していました。ジョイ・ディヴィジョンは、独特のダークで陰鬱なサウンドで人気を博しますが、1980年、ヴォーカリストのイアン・カーティスが自殺。バンドは活動停止を余儀なくされます。しかし、残されたメンバーは新たな道を模索し、ニュー・オーダーとして活動を継続することを決意。サムナーは、中心メンバーとしてヴォーカル、ギター、キーボードを担当するようになりました。この転換は、サムナーの音楽人生における大きな転機となりました。

多様な音楽活動

ニュー・オーダーでの活動に加え、サムナーは様々なサイドプロジェクトにも精力的に取り組んでいます。1989年にはザ・スミスのジョニー・マーと共にエレクトロニックを結成し、エレクトロニックミュージックの世界にも進出。2009年にはニュー・オーダーのフィル・カニンガムらと共にバッド・ルーテナントを結成するなど、その活動は多岐に渡ります。バッド・ルーテナントのデビューアルバム『Never Cry Another Tear』には、ブラーのアレックス・ジェームスや、ジョイ・ディヴィジョン時代の仲間であるスティーヴン・モリスも参加しています。また、音楽プロデューサーとしても才能を発揮し、ハッピーマンデーズのシングル制作に携わったほか、多くのアーティストのリミックスを手掛けています。

複雑な過去と名前の謎

サムナーは、本名以外にバーナード・ディッケン、バーナード・アルブレヒトという名前も使用していました。長らくその理由を明かしていませんでしたが、2007年になって、ディッケンは継父の姓、アルブレヒトはジョイ・ディヴィジョン時代の芸名（ベルナルド・ブレヒトに由来）であることが明らかになりました。複雑な家庭環境が、これらの名前の変遷に繋がっているようです。また、愛称のバーニーは本人の好みではないとのことです。

私生活と人間像

サムナーは1978年に結婚、1989年に離婚。現在はチェシャーに住み、再婚して子供をもうけています。思春期にはスキンヘッドのグループに属していた時期もあり、憂鬱な性格で抗うつ剤を服用していた時期もあったことを明かしています。金髪がトレードマークですが、エレクトロニック時代にはジョニー・マーと同様に黒髪短髪にしていた時期もありました。

ヴォーカリストとしての評価

作詞・作曲家としての高い評価を受ける一方、ヴォーカリストとしての評価については議論の的となっています。特に初期のライブパフォーマンスでは、音程が外れることも珍しくありませんでした。しかし、90年代以降は歌唱力が著しく向上し、同一人物とは思えないほどの変化を遂げています。

日本との繋がり

80年代来日時には、日本の音楽にも造詣が深く、Logic System（YMOの松武秀樹のソロプロジェクト）やカシオペアを愛聴していると公言していました。これは、サムナーの音楽的視野の広さを示すエピソードと言えるでしょう。

ディスコグラフィーと著書

ジョイ・ディヴィジョン、ニュー・オーダー、エレクトロニック、バッド・ルーテナントなど、数多くの作品を発表しています。また、2014年には自伝『Chapter and Verse - New Order, Joy Division and Me』を出版し、日本語版も刊行されています。

バーナード・サムナーは、複雑な人生経験と、音楽に対する揺るぎない情熱を両立させた稀有なミュージシャンです。彼の音楽は、これからも多くの人々を魅了し続けることでしょう。

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