ニュー・センセーションズ

ルー・リード『ニュー・センセーションズ』の概要

『ニュー・センセーションズ』は、アメリカのミュージシャン、ルー・リードによるソロの13枚目のアルバムで、1984年4月にRCAレコードからリリースされました。本作は、プロデューサーにルー・リード自身とジョン・ジャンセンを迎え、一層の音楽的深化を果たしました。発売後、アメリカのビルボード200で最高56位、イギリスのアルバムチャートでは92位に達し、リードにとっては1978年の『ストリート・ハッスル』以来、久々のチャート入りとなる記録を打ち立てました。

シングルと商業的成功

このアルバムからは、「アイ・ラヴ・ユー、スザンヌ」、「マイ・レッド・ジョイスティック」、「ハイ・イン・ザ・シティ」といったシングルがリリースされましたが、実際にチャートにランクインしたのは、「アイ・ラヴ・ユー、スザンヌ」のみで、全英シングルチャートで最高78位を記録しました。また、MTVでのビデオ放映はそれほど頻繁ではありませんでした。

ロバート・クインとの関係

このアルバムの製作においては、ギタリストのロバート・クインも参加予定でしたが、レコーディング中にリードと意見が対立し、彼はこのアルバムのほとんどのギター演奏を自ら行うことになりました。リードは「マイ・レッド・ジョイスティック」と「マイ・フレンド・ジョージ」以外、ほぼ全てのギターを担当しました。後にクインは、「アイ・ラヴ・ユー、スザンヌ」のギターリフが自身によるものであることを主張し、クレジットにその旨が記載されなかったため、ロイヤリティーを受け取れないという事態に至りました。この出来事は、両者の関係をさらに悪化させる要因となりましたが、結局、リードのワールドツアーにはクインも参加することになります。

評価と批評

『ニュー・センセーションズ』はリリース当初から音楽評論家の注目を集め、多くの肯定的な評価を得ました。『ヴィレッジ・ヴォイス』のロバート・クリストガウは、このアルバムにA評価を付与し、リードが新たな音楽的安定性を見出したことを評価しました。また、『ローリング・ストーン』のカート・ローダーは本作を「長く待たれた喜び」と表現し、その予想外の仕上がりが魅力的であると述べました。

後年では、オールミュージックのマーク・デミングが本作はリードに新たな暖かさと人間味をもたらしたと指摘し、「ハッピーに書く」ことも可能であることを示したと評価しました。

トラックリスト

全曲の作詞・作曲はルー・リードです。アルバムに収録されたトラックは、アーティストの個性を色濃く反映しています。

パーソネル

本作に参加したミュージシャンは以下の通りです。

- ルー・リード：ボーカル、リードギター、リズムギター
- フェルナンド・ソーンダース：エレクトリックベース、ダブル・ベース、バッキング・ボーカル、リズムギター（特定曲）
- フレッド・マー：ドラムス
- ピーター・ウッド：ピアノ、シンセサイザー、アコーディオン
- ラクシュミナラヤーナ・シャンカー：エレクトリック・ヴァイオリン
- マイケル・ブレッカー：テナー・サクソフォーン
- ランディ・ブレッカー、ジョン・ファディス：トランペット
- トム・マローン：トロンボーン、管楽器アレンジ
- バッキング・ボーカルには、ジョセリン・ブラウン、ロリー・ドッド、コニー・ハーヴェイ、エリック・トロイヤーが参加しています。

制作

プロデューサーはジョン・ジャンセン、そしてルー・リードもその役割を果たしました。記録された音源は、その後の音楽に多大な影響を与え、リードのキャリアの重要な一ページを飾ることとなりました。

チャート情報

アルバムはリリース時に多くの関心を集め、多様なリスナーに支持される結果となりました。

音楽シーンでの彼の存在感は、今もなお多くのファンに愛され続けています。

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