ニワシドリ科

ニワシドリ科

ニワシドリ科（学名: Ptilonorhynchidae）は、鳥類分類におけるスズメ目に属するグループです。この科に属する鳥たちは、一般にニワシドリ、あるいはコヤツクリ、アズマヤドリといった名称で知られています。

生息地

主にオセアニア地域のオーストラリア大陸およびニューギニア島に分布しています。

特徴的な形態

体長は種によって異なりますが、おおよそ20センチメートルから40センチメートルの範囲です。多くの種では地味な羽色をしていますが、繁殖期の雄の一部には、非常に鮮やかで目を引く色の羽や美しい飾り羽を持つものがいます。

生態

ニワシドリ科の鳥類は、森林地帯や木がまばらに生える疎林に生息しています。主な食料源は植物性のもの、特に果実や種子などを好んで食べますが、状況に応じて昆虫類も捕食します。

繁殖においては、ネコドリ属の例外を除き、巣の建築から卵を温める抱卵、そして孵化したヒナを育てる育雛まで、すべて雌が単独で行うという特徴があります。

求愛の構造物「バワー」

ニワシドリ科の鳥類の中で最も注目される生態は、雄が繁殖期に雌を引きつけるために作る、精緻な「バワー（bower）」と呼ばれる構造物です。

このバワーは鳥の一般的な巣とは異なり、子育てに使われることはありません。雄はまず、直径1メートルから3メートルほどの地面の範囲を、落ち葉や枯れ枝などを丁寧に取り除いて整え、「コート（court）」と呼ばれる庭を作ります。その庭の中に、さらに大きな小屋のような構造物、すなわち「バワー（あずまや）」を建設します。

バワーの形状は種によって非常に多様ですが、大きく分けて二つの主要なタイプがあります。

メイポール型バワー

チャイロニワシドリなどがこのタイプを作ります。若い木の幹などを中心として、その周囲に小枝などを水平に積み重ねて、塔状や尖塔状（スピアと呼ばれることもあります）の構造物を建造します。このメイポールの高さは2.5メートルにも達することがあります。

メイポールの周囲の地面はコケで円形に敷き詰められ、さらにその外側には小枝をはじめとする様々な物品が装飾品として集められて配置されます。

アベニュー型バワー

マダラニワシドリやアオアズマヤドリなどがこのタイプを作ります。乾燥した草の茎などを密集させて並べ、一対の壁を作り、その間に通路（アベニュー）を設けます。このアベニューの入口やその周辺には、小石、動物の骨、貝殻、時には人間が捨てたガラス片やプラスチック片など、多種多様な物品が装飾として散りばめられます（どのような装飾品が好まれるかは種によって異なります）。

バワーを訪れた雌は、草の壁に囲まれたアベニューの内部に入ります。一方、雄はアベニューの外側で、非常に情熱的な求愛ディスプレイを行います。草の壁は密度が高くないため、雌は壁を通して雄の華麗なディスプレイを観察することができる仕組みになっています。

系統と分類

ニワシドリ科の鳥類は、スズメ亜目の系統の中で、コトドリ上科の次に初期に分岐したグループと位置づけられています。キノボリ科とは姉妹群の関係にあり、これら二つの科でニワシドリ上科を形成すると考えられています。かつてはコトドリ上科に含められることもありましたが、近年の分子系統解析などにより、独立した上科として分類されることが一般的です。

科内の系統を見ると、アベニュー型バワーを作る種群は単系統群であることが示されています。しかし、メイポール型バワーを作る種群は単系統ではなく、バワーを全く作らないパプアニワシドリを含んでいます。このことから、パプアニワシドリはかつてメイポール型のバワーを作っていた祖先から分岐し、二次的にバワーを作る習性を失った可能性が示唆されています。

国際鳥類学会議（IOC）の分類によれば、ニワシドリ科には現在8属20種が認められています。

ネコドリ属 (Ailuroedus)
Scenopoeetes 属
Archboldia 属
カンムリニワシドリ属 (Amblyornis)
Prionodura 属
フウチョウモドキ属 (Sericulus)
Ptilonorhynchus 属
マダラニワシドリ属 (Chlamydera)

これらの属には、それぞれ特徴的な種が含まれており、ニワシドリ科の多様性を示しています。

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