ヌカボシソウ

ヌカボシソウ（Luzula plumosa）

ヌカボシソウは、イグサ科スズメノヤリ属に分類される多年草の一種です。名前の由来は、黄色っぽい花がばらばらに咲く様子を、糠の星に見立てたことによります。本州から九州の山野に自生し、ごく普通に見られます。

特徴

形態:
花茎の他に茎を伸ばさない多年草。
根出葉は線形で、長さ15cm、幅3-5mm程度。
葉の縁には白い毛があり、先端は硬質化して棍棒状になる。
花期は4-5月。
花茎は高さ15-25cmで、2-3個の茎葉を持つ。
花は細い花柄の上に単独でつく。
花柄は細いが垂れ下がらない。
花被片は披針形で先端が尖り、淡褐色で縁は膜質の淡緑色。
雄しべは6本で花被片よりやや短い。
蒴果は円錐形で花被片より長く、黄褐色で光沢がある。
種子は広楕円形で、種子と同じ長さの種枕がある。
分布と生育環境:
日本では北海道から九州まで分布。
国外では、中国、インド、ネパール、ブータンに分布。
山野の草地に生育する。

下位分類

クロボシソウ（Luzula plumosa subsp. dilatata）は、ヌカボシソウの亜種とされています。根出葉の幅が1cm以上とやや広く、花被が濃赤褐色になることで区別されます。また、走出茎を出して群落を形成する点も異なります。本州、四国、九州の山地に生育します。

近縁種

ヌカボシソウが属するスズメノヤリ属は、世界に約115種、日本には約11種が知られています。ヌカボシソウは、以下の特徴によって他の種と区別できます。

花が花柄に単独でつく（ばらばらに見える）。
葉の先端が硬質化している。
花柄の葉が三角状である。
花柄が垂れ下がらない。

花がばらばらに咲く種には、ミヤマヌカボシソウやコゴメヌカボシなどがありますが、これらは主に高山に分布します。低地に分布する種では、スズメノヤリやヤマスズメノヒエなど、ある程度以上花が集まって咲くため、ヌカボシソウは比較的容易に識別できます。

参考文献

大橋広好他編, 『改定新版 日本の野生植物 1 ソテツ科～カヤツリグサ科』, (2015), 平凡社
佐竹義輔他, 『日本の野生植物 草本I 単子葉植物』, (1982), 平凡社

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