ヌミストロの戦い

ヌミストロの戦い：ハンニバルとマルケルスの激突

ヌミストロの戦いは、第二次ポエニ戦争中の紀元前210年、ハンニバル・バルカ率いるカルタゴ軍と、マルクス・クラウディウス・マルケルス率いるローマ軍の間で繰り広げられました。この戦いは、イタリア半島における両軍の勢力争いを象徴する重要な戦いの一つです。

戦いの背景

紀元前212年、マルケルスはカルタゴ側に寝返ったシュラクサイを攻略。その後、彼はイタリア本土でハンニバルと対峙すべく軍を率いて進軍を開始しました。サムニウム地方に侵攻したマルケルスは、カルタゴの守備隊3000人を捕虜にするという戦果を上げます。勢いに乗るマルケルスは、続いてルカニア地方へと進軍し、ヌミストロ近郊の丘に陣を構えるハンニバル軍と遭遇しました。

戦闘の経過

マルケルスは丘の下の平地に陣を敷き、翌朝、戦闘隊列を整えてハンニバル軍との交戦に臨みました。丘から駆け下りてくるカルタゴ軍に対し、ローマ軍は勇敢に応戦。一日を通して激しい戦闘が繰り広げられましたが、両軍ともに決定的な打撃を与えることができず、勝敗はつきませんでした。日が暮れると、両軍は一旦陣営へと兵を引きました。

翌日、マルケルスは再びハンニバル軍に戦いを挑もうとしましたが、ハンニバルはこれに応じず退却を開始。マルケルスは、カルタゴ軍の戦死者の武具を剥ぎ取り、自軍の戦死者を手厚く葬った後、再びハンニバルの追撃を開始しました。

戦いのその後

ヌミストロの戦いは、決着がつかないまま終わりましたが、両軍の消耗は激しく、その後の戦局に影響を与えました。翌紀元前209年、執政官代行となったマルケルスは、カヌシウムでハンニバルと再び対峙し、カヌシウムの戦いで激突することになります。

ヌミストロの戦いは、第二次ポエニ戦争におけるローマとカルタゴの攻防を象徴する戦いであり、名将ハンニバルとマルケルスの戦略と戦術がぶつかり合った重要な戦いとして、歴史に名を刻んでいます。

参考文献

* プルタルコス著、柳沼重剛訳『英雄伝 2』、京都大学学術出版会、2007年

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