ネイティヴダイヴァー

ネイティヴダイヴァー：西海岸の伝説的名馬

ネイティヴダイヴァー (Native Diver, 1959年4月16日 - 1967年9月13日) は、アメリカ合衆国で誕生したサラブレッド競走馬です。2歳から8歳まで、カリフォルニア州を主戦場として81戦を戦い抜き、37勝という輝かしい成績を残しました。そのうち34勝はステークス競走という重要なレースでの勝利であり、その卓越した能力の高さを物語っています。特にハリウッドゴールドカップでは3連覇を達成するなど、西海岸を代表するスターホースとして圧倒的な人気を誇りました。当時のファンからは「ザ・ダイバー」の愛称で親しまれ、東海岸の名馬ケルソと並び称されるほどの名声を博しました。その功績が認められ、アメリカ競馬殿堂入りを果たし、20世紀のアメリカ名馬100選では第60位にランクインしています。

荒々しい幼少期と華麗なるデビュー

ネイティヴダイヴァーの母フリートダイヴァーは、現役時代は目立った成績を残せませんでしたが、その2勝のうち1勝は、アメリカ競馬殿堂入りを果たした名騎手ジョニー・ロングデンによる4000勝目を飾るレースでした。引退後、フリートダイヴァーはシャピロ夫妻に購入され、1959年にネイティヴダイヴァーを出産しました。しかし、1歳時に背中の負傷を負ったネイティヴダイヴァーは、その傷を庇うように首を高く上げて走る癖がついてしまいました。

育成のためサウザントオークスの牧場に送られた彼は、その気性の荒さで有名でした。担当者らを苦しめるほど荒々しい性格でしたが、去勢手術後、ややおとなしくなったものの、その気性は完全に治まることはありませんでした。

1961年9月、バスター・ミレリック調教師のもと、ラルフ・ネベス騎手を鞍上に迎え、ベイメドウズ競馬場の未勝利戦でデビュー。7馬身差の圧勝劇で、関係者を驚かせました。ミレリック調教師は、このデビュー戦を目撃した際、「この馬は偉大なチャンピオンになる」と予言したと伝えられています。その後も圧勝劇を続け、注目を浴びる存在となりました。しかし、2歳シーズン終盤では、強豪インディアンブラッドに敗れるなど、その実力に陰りを見せる場面もありました。

才能開花と主戦騎手との出会い

3歳シーズンは、不安定な成績が続いたものの、終盤にコースレコードで圧勝するなど、その潜在能力の高さを示しました。4歳シーズンには、サンディエゴハンデキャップで年上の有力馬を相手に快勝し、1番人気を背負う存在へと成長を遂げました。この頃、主戦騎手であったネベス騎手が引退。その後、ジェリー・ランバート騎手が騎乗し、見事なコンビネーションを見せ始めました。ランバート騎手とのコンビで、ネイティヴダイヴァーは、ハリウッド金杯3連覇という偉業を達成することになります。

5歳以降は、東海岸の強豪ケルソとの対戦や、ライバル馬との激しい争いを繰り広げました。常に1番人気に支持されながらも、その気性の激しさからか、不安定な成績を残すこともありました。しかし、ランバート騎手との抜群の相性を武器に、数々の勝利を重ねていきました。

西海岸最強馬そして伝説へ

6歳シーズンには、ハリウッド金杯で初優勝を飾るとともに、サンディエゴハンデキャップでも圧勝。名実ともに西海岸最強馬として君臨しました。7歳シーズンには、ハリウッド金杯で史上初の連覇を達成するなど、その強さを証明しました。しかし、その年の後半には、疲労や故障により、成績が低迷。

8歳シーズンは、再び強豪プリテンスとの激戦を繰り広げました。プリテンスとの対戦では敗れる場面もありましたが、ハリウッド金杯では、オハラの失格により史上初の3連覇を達成。カリフォルニア州産馬として初の獲得賞金100万ドル突破という偉業を成し遂げました。

しかし、その輝かしいキャリアは、あまりにも突然幕を閉じます。デルマーハンデキャップでの勝利からわずか数日後、疝痛のため急死しました。その死は、カリフォルニアのみならず全米を悲しませ、多くのファンに深い衝撃を与えました。

天才馬の素顔

ネイティヴダイヴァーは、体高16ハンドの標準的な体格の馬でした。毛色は黒に近い色で、「ザ・ブラックホース」の愛称で呼ばれることもありました。幼少期の負傷の影響で、独特の走り方をすることでも知られていました。解剖の結果、心臓が通常よりも3割も重いことが判明しました。

気性は荒々しく、育成時代には関係者を悩ませた一方で、厩舎では人懐っこい一面も持ち合わせていたそうです。その激しい気性と並外れた勝負根性が、彼の類まれな強さの源泉だったのかもしれません。

ネイティヴダイヴァーは、アメリカ競馬史に名を刻む伝説的な名馬です。その短くも激しい生涯は、多くの競馬ファンに感動と興奮を与え続け、今もなお語り継がれています。

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