ネオアコ

ネオアコとは

ネオアコ、略してネオ・アコースティックは、主に1980年代に広まった音楽ジャンルで、ポスト・パンクの流れから派生しています。この用語は和製英語であり、欧米では一般的には通用しません。ネオアコの特徴はアコースティック楽器を中心に、主観的で透明感のあるサウンドを描くことにあります。

歴史

ネオアコの物語は、1980年代初頭のイギリスにさかのぼります。この時期、チェリー・レッド、ラフ・トレード、ポストカードなどのレーベルから、パンク以降のDIY精神を引き継いだアーティストたちが登場しました。これらのアーティストは、アコースティックな音楽スタイルを新鮮な感覚で表現し始めます。後に日本では、評論家やレコード会社によってこのムーブメントが「ネオ・アコースティック」と名付けられました。

この「ネオ」という語は、当時流行していた様々な音楽スタイルに名付けられた接頭辞の一部であり、ポスト・パンクに近い意味合いを持っています。具体的には、パンクが持っていた旧来の価値観を覆し、新たな音楽スタイルを築くという意図が込められています。アコースティック音楽の中心には、ニール・ヤング、ボブ・ディラン、バーズのような1960年代から70年代の音楽があり、その影響を受けながらも一層「青臭く」て透明感のあるサウンドを追求していました。

音楽性

ネオアコは、演奏において「ドライで軽快、そしてタメをつくらない」とされる特性があります。これは「成熟拒否」とも言われる観念に通じており、簡潔さと透明感を重視しています。また、この時代はボサノヴァやスウィング、ロカビリーといった古い音楽様式への回帰を願う空気があり、一定のポップ性が再評価されました。

オレンジ・ジュースの「リップ・イット・アップ」などヒットした楽曲は、シックなどの影響を受けたダンサブルなスタイルで知られています。その後、1982年から1985年にかけてアズテック・カメラやペイル・ファウンテンズなどのアーティストが続々と登場し、ネオアコの名盤がリリースされました。当時のファン層は限られていましたが、イギリスや日本で根強く支持されていました。

1980年代半ば以降は多様化と洗練が進み、そのスタイルは一時下火となります。しかし、1989年にフリッパーズ・ギターがメジャーデビューしたことで、日本におけるネオアコの存在感が再び高まりました。彼らの大ヒット曲「恋とマシンガン」は、ネオアコの特徴を色濃く反映しており、広く愛される音楽となりました。

影響を受けたアーティスト

ネオアコは多くのアーティストに影響を与えました。1980年代にはアズテック・カメラ、プリファブ・スプラウト、ザ・スミスなどがこのジャンルに分類され、1990年代以降もベル・アンド・セバスチャンやトラッシュキャン・シナトラズといった多くのバンドが登場しました。さらに、日本においてもフリッパーズ・ギターを始めとするバンドがネオアコのスタイルを継承し、独自の発展を遂げました。

このように、ネオアコは音楽的な背景と独自のスタイルによって、多くのアーティストにインスピレーションを与え続けています。

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