ネオジム弘三石

ネオジム弘三石：日本の地で発見された希少鉱物

2000年、日本の佐賀県唐津市で、新たな鉱物が発見されました。それがネオジム弘三石(Kozoite-(Nd))です。国立科学博物館の鉱物学者である宮脇律郎氏らの研究チームによって、アルカリ玄武岩の空隙の中から発見されたこの鉱物は、その希少性とユニークな性質から、鉱物学の世界に大きな注目を集めました。

命名の由来と長島家との繋がり

ネオジム弘三石という名前は、筑波大学の化学者であった故長島弘三博士への敬意を表して名付けられました。長島博士は、この鉱物の分析において重要な貢献を果たしました。興味深いことに、長島博士は、鉱物愛好家で、別種の鉱物「長島石」に名前を残している長島乙吉氏の息子にあたります。親子二代で鉱物に名前を残すという、鉱物学の歴史においても稀有な事例と言えるでしょう。

ネオジム弘三石の性質

ネオジム弘三石の化学組成は(Nd,La)(CO3)(OH)で表されます。結晶構造は斜方晶系に属し、アンシライトグループに分類されます。ネオジム水酸バストネス石とは同質異像の関係にあります。特徴的なのはその色彩で、日光の下ではピンク色を呈する一方、蛍光灯の下では薄緑色に見えるという、光源によって色が変化する性質を持っています。通常は球状の集合体として産出します。

関連鉱物：ランタン弘三石

[ネオジム]]弘三石と密接に関連する鉱物として、ランタン弘三石(Kozoite-(La))があります。これはネオジム弘三石と同様に、長島弘三博士の功績を称えて命名されました。2002年に発見が報告され、ネオジム弘三石と同様に、アルカリ玄武岩中に産出します。ネオジム弘三石とランタン弘三石は、しばしば共存して発見されることが知られています。両鉱物の違いは、[[ネオジム]と[ランタン]の比率の違いに由来します。

ネオジム弘三石の発見と研究

ネオジム弘三石の発見は、日本の鉱物学研究における重要な成果の一つです。この発見は、日本の地質学的環境の多様性と、新たな鉱物の発見の可能性を示唆しています。その後の研究では、ネオジム弘三石の結晶構造や化学組成、生成条件などの詳細な情報が明らかになり、鉱物学の進歩に貢献しています。

今後の研究と展望

ネオジム弘三石に関する研究は現在も続けられており、その希少性ゆえに、まだ解明されていない部分も存在します。今後の研究により、ネオジム弘三石の生成メカニズムや、地質学的意義がさらに明らかになることが期待されます。また、関連鉱物であるランタン弘三石との比較研究も重要となるでしょう。これらの研究を通して、日本の地質学、鉱物学、そして地球科学全体の理解を深めることが期待されます。ネオジム弘三石は、その発見から20年以上経った今でも、研究者たちを魅了し続けている鉱物なのです。

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