ネッド・ケリー

ネッド・ケリーの生涯

ネッド・ケリー（1855年 - 1880年）は、オーストラリアの有名な盗賊であり、無法者として広く知られています。彼はブッシュレンジャーであり、反抗的な生涯は数多くの小説や映画で描かれています。彼の名は「ケリーのように勇敢に」としてオーストラリアで知られる表現にもなっています。

生い立ち

ネッドは、1855年にビクトリア州東部の農村で、8人兄弟の長男として誕生しました。父親のレッド・ケリーは家畜泥棒で元囚人であり、母エレンもアイルランド系の流刑者の家族でした。そのため、ケリー一家は警察から常に監視されていました。幼少期からこの環境に育ったネッドは、手先が器用で背も高い青年に成長し、やがて窃盗に関与するようになります。彼はブッシュレンジャー、ハリー・パワーと親しく付き合っていました。

ネッドは1869年に14歳で強盗の容疑で逮捕され、翌年にも別の容疑で捕まりますが、これらは無罪となります。しかし、1870年には他の知人の犯罪に巻き込まれ、警察により無実の罪で有罪判決を受け、3年間の服役を余儀なくされました。19歳で出所した後、彼は樹木伐採の職に就きましたが、すぐに再び犯罪に巻き込まれることになります。この時期、ネッドはさらに3回逮捕され、1878年までには逮捕歴がつきまとっていました。

ブッシュレンジャーへの道

1878年4月、若い警官のフィッツパトリックがネッドの家に訪問し、弟のダンの馬泥棒への関与を疑います。その訪問中にフィッツパトリックはネッドの妹を侮辱し、事態はエスカレート。最終的にネッドが警官を家から追い出すと、翌日、警官隊による包囲が始まります。この一連の出来事により、ネッドと弟のダンは茂みに逃れ、ブッシュレンジャーたちと合流しました。

以降、警察との戦いが始まり、ネッドは権力に対抗する姿勢がさらに明確になります。彼は他のブッシュレンジャーたちと共に、金持ちや権力者をターゲットにした強盗を行い、逆に貧しい人々には優しい振る舞いをしました。彼の行動は民衆の支持を集め、「義賊」として慕われました。

ネッドの活躍

1878年11月、ユロア銀行を襲撃した際、ネッドたちは銀行職員の服を着て偽装、巧妙に金を奪取しました。また、その後の警察署襲撃では、制服を着て町に出て、資本家に対抗するかのような振る舞いで民衆の支持を得ました。彼の行動は、貧困層への感謝の意を示し、彼を義賊として称賛される存在にまで押し上げました。しかし、彼に対する懸賞金は日に日に増額され、8,000ポンドに達しました。

逮捕と処刑

1880年、ケリー兄弟の仲間が警官を射殺し、それをきっかけにネッドたちは警察から厳しい追跡を受けます。彼は70人ほどの人質をとり、脱出を試みましたが、1人の教員が逃げたことでさらに状況は悪化。最終的に警察による包囲が行われ、ネッドは捕まりました。

裁判では、彼は正当防衛を主張しましたが、裁判所は彼の言い分を受け入れず、死刑判決が下されました。民衆は助命嘆願を行ったものの、裁判は覆されることなく、ネッドは1880年11月11日に処刑されました。彼の最後の言葉「人生ってそういうものさ」は、多くの人に深い印象を与えました。

死後の影響

ネッド・ケリーは死後、彼の人気が高まる中で多くのフィクション作品のモデルとなり、特に貧しい農民やアイルランド系移民の間で英雄視されました。また、彼の遺骨はその後、母親の墓に埋葬されました。彼の生涯は義賊の象徴として、今でもオーストラリア文化の重要な一部を成しています。ネッド・ケリーの物語は、反抗と抵抗の象徴として、今なお語り継がれているのです。

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