ネプチューン・キング

ネプチューン・キングとビッグ・ザ・武道

ネプチューン・キングは、ゆでたまご作の漫画『キン肉マン』およびその続編『キン肉マンII世』に登場する重要なキャラクターです。彼は古代超人界最強と謳われる実力者であり、物語の中では変装した姿であるビッグ・ザ・武道としても登場します。ここでは、その複雑な背景、特徴、物語における役割、そして技について詳細に解説します。

主な特徴

ネプチューン・キングは、「夢の超人タッグ編」で初登場しました。彼は数十万年もの間、テームズ川で自らの遺志を継ぐ者を待ち続けていた完璧超人の首領です。その戦いの信念は「殺すか殺されるか」であり、ソード・デスマッチのような残虐な試合方法を考案しました。彼の強さの根源はマグネット・パワー、つまり地球のエネルギーにあります。この力で地球の自転を逆転させ、時間さえも過去に戻すことができるとされています。また、キン肉マンとの戦いでは、胸に前方後円墳のような形のアザ（アポロン・ウィンドウ）が現れます。

当初、ネプチューン・キングは剣道の仮面と防具を身に着け、ビッグ・ザ・武道としてネプチューンマンの付き添い人を装い、影から彼を操っていました。彼は1000人の弟子を持ち、正義超人の追放と地球征服を企てていました。正体を現してからの口癖は「グロロ～」です。

ネプチューン・キングは、正体を隠すための仮の肉体「オーバーボディ」の概念を最初に持ち込んだキャラクターであり、その発案者でもあります。彼は、黒い三角頭巾と黒マント、サングラス状のマスク、ビッグ・ザ・武道のボディ、そしてネプチューン・キングのマスクという、4重ものマスクを着用していました。ビッグ・ザ・武道の剣道着は、原作では緑色を基調とし、アニメでは紺色を基調としています。素顔はミイラのような老人で、保湿保温のためにオーバーボディを重ね着していました。剣道着を着ているのは、ザ・マンへの憧憬からでした。

テリーマンからは、「鋼鉄のスーツで完璧さを装っているが、中身は虚栄と私欲に満ちたミイラ」と評されています。彼は完璧超人の首領を騙っていただけでなく、モンゴルマンの金網恐怖症を利用したり、呪いの人形を使ってザ・マシンガンズを仲間割れさせるなど、完璧超人の掟に反する行為を平然と行いました。完璧超人始祖のサイコマンからは「調子に乗った小悪党」「最低の小物」と蔑まれ、彼自身もアースエネルギーに見放されると下等超人と変わらないと認めています。

作者のゆでたまごは、連載当時ネプチューン・キング（ビッグ・ザ・武道）の扱いに苦労したと語っています。当初のデザインはすぐに変更され、その後の姿もキャラが立っていないと嘆いていました。終盤では悪役として徹底させたものの、「やっとキャラが立ったと思ったらこんな形で、ネプチューンマンは改心して人気が出たけど、キングはあそこまで悪いとキツイ」と述べています。しかし、後年のゲームなどで描き下ろしたビッグ・ザ・武道のイラストは「凄くカッコ良い」と気に入っており、その成長を喜んでいるようです。また、フィギュアメーカー「CCP」によるビッグ・ザ・武道のフィギュアに触発され、作画担当の中井義則は「今ならもっとカッコいい武道が描ける」と、新超人ストロング・ザ・武道の誕生に繋がりました。

『キン肉マン』でのネプチューン・キング

過去〜喧嘩男との遭遇

十万年前、強すぎるが故に抹殺されかけたネプチューン・キングは、テームズ川への自殺を偽装し、密かに弟子たちを天上界に集めて修行させていました。十万年後、ビッグ・ザ・武道の姿でテームズ川に現れ、自身の遺志を継ぐ者を待ちました。同じく強すぎて身を投げた喧嘩男の実力を試してネプチューン・マスクを授け、ネプチューンマンへと転身させ、パートナー兼部下としました。その後、ネプチューンマンと共に下等超人の覆面を剥ぎ続けました。

アニメでは、「正統派超人」の長老セメントスに育てられたネプチューンマンに氷山の一角に思念を宿して対話を行い、地球に赴いて正義超人を倒し、完璧超人の道を示すことでネプチューンマンを弟子にしました。セメントスには、その甘言の際にネプチューン・キングであることを見破られていました。

夢の超人タッグ編

ネプチューンマンとタッグチーム「ヘル・ミッショネルズ」を結成し、宇宙超人タッグ・トーナメントに参加しました。最初はフードで正体を隠していました。完璧超人の先発隊としてスクリュー・キッドとケンダマンを送り込みましたが、2000万パワーズに敗北。敗北と凶器攻撃という完璧超人の掟を犯した2人に制裁を加えるため、ネプチューンマンは2人と対戦。その際、武道はオーバーボディを砕きながらスクリュー・キッドを倒しました。その後、ケンダマンはネプチューンマンに殺害されました。

1回戦第3試合では、超人師弟コンビと対戦。武道はロビンマスクの作戦によって交代し、その後はネプチューンマンとの合体技「クロス・ボンバー」でロビンマスクとウォーズマンをKOしました。準決勝では、ランバージャック・デスマッチで悪魔超人コンビを妨害し、呪いの人形を奪い取り、キン肉マンと2000万パワーズの仲を再び険悪にしました。

準決勝第2試合では、金網・有刺鉄線デスマッチで2000万パワーズと対戦。モンゴルマンの金網恐怖症を利用し、マグネット・パワーを駆使してモンゴルマンのマスクを奪い、さらにキン肉マンの左腕を切断しました。決勝戦では、キン肉マングレートのマスクを奪い、正体を暴きました。キン肉マンのマスク狩りには失敗しましたが、その動揺から正体がネプチューン・キングであることが判明。正義超人の追放と地球支配が目的であることが明かされました。正体を現してからは、凶器攻撃も辞さないファイトを見せ、ネプチューンマンからも反感を買いました。

友情パワーで覚醒したキン肉マンには動じませんでしたが、逆にアースエネルギーに頼る下等超人だと指摘され動揺。胸にアポロン・ウィンドウが浮かび上がり、マグネット・パワーを封印されてヘル・ミッショネルズは敗北しました。ネプチューン・キングはマスクが割れ、ミイラの素顔を晒して絶命。その後、ネプチューンマンは自らの敗北を知らせる人狼煙として自爆しました。

キン肉星王位争奪編

邪悪の神の話し合いの中で、死体として登場。このとき、超人強度が5000万パワーであることが明かされました。その後、ジ・オメガマンとの戦闘中に、処刑した亡霊超人をコレクションする巨大な指に現れ、ネプチューンマンに噛み付くも、キン肉マンとネプチューンマンのクロス・ボンバーで首を狩られました。

完璧超人始祖編

死亡しているため、回想のみの登場です。宇宙超人タッグ・トーナメントの凶器攻撃の時点で、完璧超人幹部の座から脱落していたことが語られます。元々は完璧・無量大数軍の古参であり、サイコマンの弟子でしたが、力を得たことで慢心し、権利を剥奪されました。その後、独自の勢力を拡大し、完璧超人の首領を自称しましたが、下等超人に敗れて死んだことで、サイコマンからは「最低の小者」と蔑まれました。

主要対戦成績

タッグマッチ
○ 超人師弟コンビ（ロビンマスク / ウォーズマン、クロス・ボンバー）
○ 2000万パワーズ（モンゴルマン / バッファローマン、クロス・ボンバー）
× マッスル・ブラザーズ → ザ・マシンガンズ（キン肉マン / キン肉マングレート → テリーマン、3本勝負で1-2）
○ 1本目（クロス・ボンバー）
× 2本目（マッスル・ドッキング）
× 3本目（10カウントノックアウト）

『キン肉マンII世』でのネプチューン・キング

d.M.p設立当初の回想で完璧超人首領として登場しますが、d.M.p崩壊前後での首領は麒麟男となっており、その後の詳細は不明。アニメでは登場せず、終始麒麟男が役目を担っています。

得意技

シングル技
喧嘩ボンバー：左腕での強烈なラリアット。ネプチューンマンの得意技だが、武道も使用可能。
制裁突き：木刀で相手の喉元を突く。
武道爆裂キック：巨体を生かした飛び蹴り。
武道の一喝：背負い投げ後、腹にパンチ。
メガトン・キング落とし：リバース・フルネルソンの体勢から叩きつける技。
磁気スープレックス：マグネット・パワーで引き寄せてジャーマンスープレックス。
磁気嵐ドライバー：磁気スープレックスの原理でツームストンドライバー。
タッグ技
クロス・ボンバー：前後から喧嘩ボンバーで挟み撃ち。
磁気嵐クラッシュ：ベアハッグとパイルドライバーで頭部を激突させる。
ハイジャック・パイル・ドライバー：ネプチューンマンがダブルアーム・スープレックスで相手を逆さまにし、武道が足をつかんでキャンバスに叩きつける。
マスク・ジ・エンド：相手のマスクを剥がしていく技。
地球大逆転：マスク・ジ・エンドの体勢から地球の自転を反転させ時間を戻す。
サンダー・サーベル：電磁力パワーを雷雲に放ち稲妻を武器とする。

プロフィール

分類：完璧超人
出身地：日本
身長体重：290cm 320kg
超人強度：5000万パワー
年齢：不明
好物：寿司
異名：ネプチューン・キング、覆面の狩人、強大なる闇の支配者、完璧超人の首領（ドン）、私欲に満ちた老将、完璧なる支配者、悪に満ちた異端老者、強大なる闇の支配者、完璧謳う虚栄の王、ビッグ・ザ・武道、死をも恐れぬ忠実なる兵隊、忠実なる覆面狩人
肩書き：元完璧・無量大数軍“完傑”
声優：北川米彦、太田真一郎、川島明（麒麟）
テーマソング：「覆面の狩人」

コンピュータゲーム

『キン肉マンII世超人聖戦史』では、ビッグ・ザ・武道名義で登場。特定の条件を満たすと仲間にでき、弟子入りも可能。
『キン肉マンジェネレーションズ』など『キン肉マンII世』以後のゲームでは、特定のチーム名が付けられる。
ヘル・ミッショネルズ - ネプチューンマン
マーヴェラス・ジェネラルズ - 悪魔将軍
ブラッド・アソシエーション - スクリュー・キッド（ビッグ・ザ・武道時のみ）
ブラッド・アグリーメント - スクリュー・キッド
バッド・アソシエーション - ケンダマン（ビッグ・ザ・武道時のみ）
バッド・アグリーメント - ケンダマン
『キン肉マンマッスルグランプリ2』では2Pカラーでネプチューン・キングになる。

脚注

注釈
出典
参考文献
ゆでたまご、TEAM MUSCLE『キン肉マン超人大全』集英社、1998年
TEAM MUSCLE『キン肉マン超人大全集』集英社インターナショナル、2004年
ゆでたまご『肉萬〜キン肉マン萬之書〜』集英社、2008年
ゆでたまご『キン肉マン公式ファンブック超人閻魔帳』集英社、2014年