ネルソン記念柱

ロンドンの象徴：ネルソン記念柱

ロンドンのトラファルガー広場の中心に位置するネルソン記念柱は、イギリス海軍を代表する英雄、ホレーショ・ネルソン提督の偉業を後世に伝える象徴的なモニュメントです。別名、ネルソン記念碑、ネルソン記念塔とも呼ばれています。

この記念柱は、1840年から1843年にかけて、ネルソン提督の輝かしい功績を称えるために建造されました。高さ46メートルの巨大な大理石の柱の上に、5.5メートルもの高さのネルソン提督の青銅像が据えられています。この像は、南側、ウェストミンスター宮殿の方角を向いているのが特徴です。

記念柱のデザインは、古代ローマのフォルムを参考に設計されており、コリント様式の柱には、大砲から鋳造された青銅のアカンサスの葉の装飾が施されています。柱の周囲の路面には、フランス軍から鹵獲された青銅のパネルが敷き詰められており、ネルソン提督が生涯で戦った4つの主要な海戦（トラファルガーの海戦、ナイルの海戦、コペンハーゲンの海戦、サン・ビセンテ岬の海戦）を描いたレリーフが施されています。

特に注目すべきは、ネルソン提督の像がフランスの方角を向いている点です。これは、提督が死後もフランスに対して警戒を怠らないという象徴的な意味合いが込められています。

この記念柱は、ウィリアム・レイルトンによって設計され、サミュエル・モートン・ペトによって建設されました。建設開始は1838年です。

ネルソン記念柱は単なる記念建造物にとどまらず、歴史の舞台としても重要な役割を果たしてきました。2003年5月には、中国によるチベットの占領に抗議するベースジャンプが行われ、世界的な注目を集めました。また、2005年9月には、ロンドンオリンピック開催決定を祝う巨大ポスターが柱の高さまで掲げられました。

興味深いことに、アイルランドの首都ダブリンにも、1808年に建設されたネルソン記念柱がありました。しかし、1966年にはアイルランド共和軍（IRA）暫定派によって爆破され、失われてしまいました。ロンドンのネルソン記念柱は、このような歴史的背景を含め、イギリスの歴史と文化を象徴する存在であり続けています。

今日、ネルソン記念柱は、ロンドンのランドマークとして、世界中から観光客が訪れる人気の観光スポットとなっています。その壮大な姿と、ネルソン提督の偉業を物語る歴史は、人々の心を惹きつけ、未来へと受け継がれていくことでしょう。

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