ネヴァー・セイ・ダイ (ブラック・サバスのアルバム)

ブラック・サバス『ネヴァー・セイ・ダイ』

『ネヴァー・セイ・ダイ』（原題：Never Say Die!）は、1970年代を代表するヘヴィメタルバンド、ブラック・サバスが1978年に発表した8作目のスタジオ・アルバムです。しかし、このアルバムの制作は、バンドにとって決して平坦な道のりではありませんでした。

制作の背景

1977年11月、ボーカリストのオジー・オズボーンがバンドを一時脱退。ブラック・サバスはデイヴ・ウォーカーを後任に迎え、短期間ライブ活動を行いました。しかし、1978年1月にはオズボーンが復帰し、本作のレコーディングが開始されます。この混乱の中で生まれたのが、本作に収録された楽曲群です。

収録曲「ジュニアーズ・アイズ」は、ウォーカー在籍時のライブでも演奏されていましたが、アルバムバージョンとは歌詞が異なっています。また、「スウィンギング・ザ・チェイン」では、ドラムスのビル・ワードがリードボーカルを担当。普段は歌わないトニー・アイオミとギーザー・バトラーが、「ハード・ロード」でバックアップボーカルを務めるなど、新たな試みも見られました。

アルバムジャケットは、前作『テクニカル・エクスタシー』に続き、ヒプノシスが担当。キーボードには、後にレインボーで活躍するドン・エイリーが参加しています。

音楽性の変化とメンバーの葛藤

本作は、前作同様に全英トップ10・全米トップ40入りを逃しましたが、アメリカでは1997年にゴールド・ディスクに認定されています。シングルカットされた「ネヴァー・セイ・ダイ」は全英21位、「ハード・ロード」は全英33位を記録しました。

しかし、ベースのギーザー・バトラーは後年のインタビューで、アルバム制作当時、オジーはサバスらしさを求めていたのに対し、自身とトニー・アイオミは音楽的な広がりを求めていたと語っています。その結果、バンドの方向性が定まらず、「サバスらしさ」が失われた作品になってしまったと述懐しています。また、当時はバンド自身がマネジメントやプロデュースを行っていたものの、ノウハウがなく、ビジネス面での雑務に追われ、楽曲制作に集中できなかったことも明かしています。

収録曲

1. ネヴァー・セイ・ダイ - "Never Say Die"
2. ジョニー・ブレード - "Johnny Blade"
3. ジュニアーズ・アイズ - "Junior's Eyes"
4. ハード・ロード - "A Hard Road"
5. ショック・ウェイヴ - "Shock Wave"
6. エアー・ダンス - "Air Dance"
7. オーヴァー・トゥ・ユー - "Over to You"
8. ブレイクアウト - "Breakout"
9. スウィンギング・ザ・チェイン - "Swinging the Chain"

他のアーティストによるカバー

「ネヴァー・セイ・ダイ」は、オーヴァーキルやメガデスによってカバーされています。「ショック・ウェイヴ」は、カテドラルがトリビュートアルバムでカバーしました。

参加ミュージシャン

オジー・オズボーン - ボーカル
トニー・アイオミ - ギター、バックアップ・ボーカル
ギーザー・バトラー - ベース、バックアップ・ボーカル
ビル・ワード - ドラムス、ボーカル
ドン・エイリー - キーボード
ジョン・エルスター - ハーモニカ
* ウィル・マローン - ブラス・アレンジ

『ネヴァー・セイ・ダイ』は、ブラック・サバスの歴史の中でも賛否が分かれる作品ですが、バンドの転換期における葛藤や新たな音楽性への挑戦が垣間見える、興味深いアルバムと言えるでしょう。

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