ノエラ・ポントワ

ノエラ・ポントワ（1943年生まれ）は、フランスを代表するバレエダンサー、そしてバレエ指導者です。パリ・オペラ座バレエ団で長年にわたり活躍し、その抜きん出た舞踊技術と、舞台上での優雅な姿で、多くのファンを魅了しました。1983年にパリ・オペラ座バレエ団を引退後も、ゲストダンサーとして舞台に立ち、後には同バレエ団で教師として後進の指導にあたりました。彼女の娘であるミテキ・クドーもまた、バレエダンサーとして活躍しています。

幼少期は体が弱かったポントワは、医者の勧めでバレエを始めました。バレエの道に進むことは特に希望していなかったものの、熱心な練習と恵まれた才能により、めきめきと上達しました。9歳半の時、周囲の勧めでパリ・オペラ座バレエ学校に入学。同期には、後に彼女のパートナーとなるシリル・アタナソフがいました。

バレエ学校では、ジャニーヌ・シャラ、ユゲット・デュヴァネル、イヴ・ブリユーなど、著名な教師陣から指導を受けました。在学中からオペラのバレエ場面に出演し、舞台経験を積みました。1960年、パリ・オペラ座バレエ団にカドリーユ（群舞）として入団し、その後は順調に昇進を重ねます。1966年にはプルミエール・ダンスーズ、1968年にはエトワールという最高位に任命されました。

ポントワは、その美貌、均整の取れたスタイル、優れた舞踊技術、そして舞台での優雅さで早くから注目を集め、国内外で幅広い活動を展開しました。ローラン・プティ、アリシア・アロンソ、ジェローム・ロビンズなど、著名な振付家の作品で初演を務めました。

彼女のレパートリーは、古典バレエから現代作品まで多岐にわたります。中でも『ジゼル』のタイトルロールは、「フランス人バレリーナによって踊られた最も感動的なジゼル」と高く評価されました。その他、『眠れる森の美女』のオーロラ姫、『ラ・シルフィード』などでも、彼女の持ち味である気品、可憐さ、繊細な表現力、深い感情表現が際立ちました。

ポントワは、パトリック・デュポン、エリック・ヴ＝アン、ウラジーミル・デレヴィヤンコ、ローラン・イレールなど、数多くのダンサーとパートナーを組みました。特にルドルフ・ヌレエフ、シリル・アタナソフとの共演は、彼女にとって最高の栄誉であり、芸術的な面で大きな影響を受けました。

私生活では、日本人舞踊家の工藤大貮との間に娘のミテキ・クドーをもうけました。子供を産むことに周囲は反対しましたが、彼女は出産後も舞台に復帰し、ダンサーとしてのキャリアを続けました。ミテキもまたバレエダンサーとなり、母娘で舞台で共演する機会にも恵まれました。

引退後は、母校であるパリ・オペラ座バレエ学校で教師を務め、後進の育成に尽力しました。ルネ・ブルム賞、アンナ・パヴロワ賞、国家功労賞など、数々の賞を受賞。2013年には、彼女を題材とした企画展が開催されました。

ノエラ・ポントワは、フランス・バレエ界を代表する偉大なバレリーナとして、その功績は今もなお語り継がれています。

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