ノダケ

ノダケ（野竹）

ノダケ（学名：Angelica decursiva）は、セリ科シシウド属に分類される多年草です。日本をはじめ、東アジアの広い範囲に分布し、山野に自生しています。

特徴

ノダケは、独特の外観と生態を持っています。

全体: 草丈は80cmから150cm程度まで成長します。根は太く束状になります。
茎: 茎は直立し、暗紫色を帯びています。上部ではわずかに分枝します。
葉: 葉は互生し、柄があります。一般的には3出羽状複葉または羽状複葉で、小葉や裂片は長卵形、楕円形、長楕円形など多様です。葉の縁には軟骨質で硬い鋸歯があり、裏側は白色を帯びています。頂小葉の基部は葉柄に流れ込んで翼状になり、葉柄の下部は袋状に膨らみます。
花: 花期は9月から11月にかけてで、茎頂や分枝した先端に暗赤色の複散形花序をつけます。花は5弁花で、花弁は暗紫色（まれに白色）です。萼歯片はありません。雄蕊は5本です。
果実: 果実は平たい広楕円形で、長さは4mmから6mm程度です。分果の背隆条は脈状、側隆条は広い翼状になります。油管は表面側の各背溝下に1-4個、分果が接しあう合生面に4-6個あります。果実には、カレー粉に似た独特の香りがあります。

分布と生育環境

ノダケは、日本国内では本州、四国、九州に分布し、山野に自生しています。国外では、朝鮮半島、ウスリー、中国、インドシナに分布しています。多くの図鑑では本州（関東地方以西）に分布するとされていますが、東北地方での分布も確認されています。

利用

ノダケの根は、生薬として利用されます。根を薄く切って日干しにしたものは「前胡」と呼ばれ、漢方薬の原料となります。

シノニム

ノダケには、以下のシノニムがあります。

Porphyroscias decursiva Miq.
Peucedanum decursivum (Miq.) Maxim.

下位分類

ノダケには、いくつかの品種や変種が知られています。

シロバナノダケ Angelica decursiva (Miq.) Franch. et Sav. f. albiflora (Maxim.) Nakai
ホソバノダケ Angelica decursiva (Miq.) Franch. et Sav. f. angustiloba (Makino) Hatus. et Nakash.
ウスイロノダケ Angelica decursiva (Miq.) Franch. et Sav. f. discolor (Makino) Hatus. et Nakash.

参考文献

佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本Ⅱ 離弁花類』（1982年）平凡社
林弥栄編『山溪カラー名鑑 日本の野草』（1983年）山と溪谷社
* 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」（YList）」

もう一度検索