ノックは無用!

長寿トーク番組『ノックは無用！』：23年間の軌跡

1975年から1997年まで、関西テレビで放送されたトーク番組『ノックは無用！』は、23年間という長きにわたって多くの視聴者から愛された人気番組でした。土曜正午からの1時間枠で放送され、独特の雰囲気と数々の名物企画で、関西のテレビ界に大きな足跡を残しました。

個性あふれる司会者と女性限定観客

番組の司会を務めたのは、元漫画トリオの横山ノックと上岡龍太郎。二人の絶妙な掛け合いと、時に鋭く時にユーモラスなトークは、番組の大きな魅力でした。また、『ノックは無用！』は、観客を女性に限定していたという点でも話題を呼びました。女性目線の視点を取り入れ、より親しみやすい雰囲気づくりに貢献していました。

多彩なコーナーと魅力的なゲスト

番組はトークコーナーを中心に構成されていましたが、その内容は多岐に渡り、視聴者を飽きさせませんでした。特に人気だったのが「魅惑の変身」というコーナー。一般女性が豪華な衣装で変身するこの企画は、毎回多くの視聴者の注目を集め、番組を盛り上げました。

他にも、早口言葉に挑戦するコーナーや、視聴者プレゼント企画などが行われ、様々な工夫が凝らされていました。ゲストも毎回多彩な顔ぶれが揃い、芸能人から著名人まで、幅広い層の人々が番組を彩りました。宝塚歌劇団のスターの出演も度々あり、関西テレビが阪急東宝グループに属していた関係が垣間見えました。

番組タイトルと音楽のこだわり

番組タイトル「ノックは無用！」には、「ゲストに気軽に来てもらいたい」という意味と、「いつ選挙に出馬して出演できなくなるか分からない横山ノックの番組への不可欠性」という、二重の意味が込められていました。これは番組構成を担当した久世進氏のアイデアによるものです。

番組の音楽は、宝塚歌劇団の劇中音楽を中心に活動する高橋城氏が担当。関西的なメロディが特徴で、しばしばキダ・タロー氏の作曲と誤解されるほどでした。オープニングとエンディングはほぼ同じ曲でしたが、後奏や音程に違いがあり、細かい部分にもこだわりが見られました。

横山ノックの選挙出馬と番組の対応

横山ノックが大阪府知事選挙に出馬した際には、番組タイトルを一時的に「ロックは無用！」に変更。ノック不在の間は、桑原征平アナウンサーや桂雀々が司会を務めました。ノックが不在の際のタイトルコールも、ノックの代わりに上岡龍太郎が担当。番組は細やかな配慮によって、選挙期間中も放送を続けました。選挙期間中は、カルーセル麻紀や桑原征平らが上岡龍太郎とともに代打司会を務めることもありました。

番組の終焉と復活特番

1997年9月27日、23年間の歴史に幕を閉じました。関西テレビの社屋移転や、ノックの公務多忙などが理由でした。しかし、その人気は衰えず、1997年12月27日と1999年7月17日には復活特番が放送され、ノックと上岡の往年のコンビが再び視聴者を魅了しました。

その他

番組は当初、ニュースバラエティとしてスタートしましたが、その後ゲストのエピソードを聞き出すスタイルに変化。若手芸人の登竜門的な役割も果たし、今田耕司や東野幸治など、多くの芸人が出演していました。また、同時ネット局として東京12チャンネル（現・テレビ東京）、テレビ神奈川、東海テレビ、岡山放送、テレビ新広島、テレビ西日本、サガテレビ、テレビ長崎、テレビ大分などがあり、関西圏外でも人気を博しました。上岡龍太郎は、この番組の生放送を挟んで『ときめきタイムリー』（読売テレビ）を担当しており、番組終了後には『歌って笑ってドンドコドン』（ラジオ大阪）の生放送に間に合わせるために、慌ただしい移動を繰り返していたそうです。

『ノックは無用！』は、個性あふれる司会者、多彩なコーナー、そして魅力的なゲストによって支えられた、まさに伝説的なトーク番組でした。その23年間の歴史は、関西テレビ、ひいては日本のテレビ史に、大きな一頁を刻んでいます。

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