ノボロギク

ノボロギク (野襤褸菊) について

ノボロギク（学名: Senecio vulgaris）は、キク科に分類される一年生または越年生の広葉雑草です。ヨーロッパを原産とし、日本では帰化植物として広く分布しています。

名称

和名である「ノボロギク」は、「野に生えるボロギク」という意味で、ボロギクとはサワギクのことを指します。その他、オキュウクサ、タイショウクサといった別名も存在します。中国語では、歐洲千里光（別名：歐洲黃菀）と呼ばれています。

形態・生態

ノボロギクは一年生の草本で、茎は中空で直立し、高さは20cmから40cm程度になります。茎は多数に分枝して株を形成し、色はうす緑色から赤紫色を帯びています。茎には水分が多く、まばらに毛が生えています。

子葉は長楕円形で、葉先はやや尖っています。成葉は互生し、不規則な羽状の切れ込みがあり、基部で茎を抱くように広がります。葉の色は濃緑色で厚く、やや光沢があり、表面にはほとんど毛がありません。葉の大きさは、長さ3cmから5cm、幅1cmから3cm程度です。

開花時期は通常5月から8月ですが、温暖な地域ではほぼ一年中開花します。花は直径1cm程度の頭状花序で、黄色い筒状花のみで構成されています。総苞は円筒形で、総苞外片は長さ1mmから3mmで上半部が黒色、総苞内片は長さ6mmで緑色をしています。筒状花は、花冠の先端が5裂し、白色の冠毛を持っています。

果実は痩果で、円柱状で10本の脈があります。種子には長い白色の冠毛があり、風に乗って遠くまで散布され、繁殖します。

生育に適した温度は7℃から35℃で、25℃が最適とされています。積雪地を除き、日本ではほぼ一年中発生が見られます。

分布・生育地

原産地のヨーロッパをはじめ、世界中の寒冷地から亜熱帯にかけて広く分布しています。日本では、明治初期にヨーロッパから侵入し、北海道から沖縄まで全国に分布しています。

耕作地では、一般畑、果樹園、水田転作畑などでよく見られ、道端や空き地にも自生します。

人間との関わり

ノボロギクは、畑地では強害雑草となることがあります。繁殖力が強く、他の植物の生育を妨げるため、農家にとっては厄介な存在です。

また、ノボロギクは有毒植物であり、食用には適しません。過去には、収斂作用があるとして鼻血などの止血に使用されたこともありましたが、ピロリジジンアルカロイドという毒性物質が含まれているため、現在では推奨されていません。

参考文献

長田武正『原色日本帰化植物図鑑』保育社、1976年6月1日。ISBN 4-586-30053-1。
平野隆久写真『野に咲く花』林弥栄監修、山と溪谷社〈山溪ハンディ図鑑〉、1989年、63頁。ISBN 4-635-07001-8。
岩瀬徹『形とくらしの雑草図鑑 : 見分ける、身近な280種』全国農村教育協会〈野外観察ハンドブック〉、2007年、118頁。ISBN 978-4-88137-135-0。
岩瀬徹・川名興・飯島和子『校庭の雑草』（4版）全国農村教育協会〈野外観察ハンドブック〉、2009年、109頁。ISBN 978-4-88137-146-6。
亀田龍吉、有沢重雄『花と葉で見わける野草』近田文弘監修、小学館、2010年、22頁。ISBN 978-4-09-208303-5。

関連項目

帰化植物

外部リンク

Senecio vulgaris L. (英語) - Integrated Taxonomic Information System
Senecio vulgaris (英語) - National Center for Biotechnology Information (NCBI)
Senecio vulgaris (英語) - Encyclopedia of Life
ノボロギク - 国立環境研究所 侵入生物データベース
* ノボロギク - 波田善夫 植物雑学事典 (岡山理科大学生物地球学部)

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