ノムンハーネイ・ブルド・オボー

ノムンハーネイ・ブルド・オボーについて

ノムンハーネイ・ブルド・オボーは、清朝の雍正時代に設置された、とても重要な境界標識です。このオボーは、フルンボイル草原とハルハ東部の境界を示しており、その名称は「ノムンハンの水の塚」を意味します。実際、ノムンハーネイ・ブルド・オボーは、ハルハ川に流れ込むハイラースティーン川の源流としても知られています。この川は、日本側では「ホルステン川」と記録されることもあります。

オボーの設立の背景

ノムンハーネイ・ブルド・オボーが設立されたのは、1731年に清国とロシアが締結したキャフタ条約に関連しています。この条約により、ロシアとモンゴルとの境界が定められ、地元に住むエヴェンキ、ダウール、バルガなどの民族に対し、フルンボイル草原での牧地が提供されました。

1731年に始まるこれらの動きの中で、旧バルガはフルンボイル草原の西部から北部にかけて遊牧し、1734年には新バルガが南部に設立されました。ハルハ東部は、ダヤン・ハーンの第七子であるゲレンセジェの系統を引くチェチェン・ハン部の牧地として用いられており、その後、新バルガ旗の設立によって、理藩院の尚書ジャグドンが境界を確認し、ノムンハーネイ・ブルド・オボーがその境界線上に設置されました。

ノムンハンの号を持つ僧侶とオボーの名称

このオボーの近くには、ハルハの左翼前旗の始祖ペンバの孫である僧侶チョブドンが埋葬されています。チョブドンは、清朝からチベット仏教の化身ラマの位階の一つである「ノムンハン」の称号を授かりました。このため、オボーの名称に含まれている「ノムンハン」は、チョブドンを指し示すものとなっています。

ノモンハン事件との関連

1734年に確立された新バルガとハルハの境界は、20世紀初頭のモンゴルと中華民国の政府間で引き続き承認されていました。しかし、1932年には満洲国が、従来よりも南方に位置するハルハ川を新たな境界と主張し始めました。この結果、ノムンハーネイ・ブルド・オボーの周辺は国境紛争の焦点となりました。

この国境紛争は後にノモンハン事件と呼ばれる大規模な軍事衝突へと発展し、オボーはモンゴル側の国境の指標として、関連文献にしばしば登場する存在となります。

まとめ

ノムンハーネイ・ブルド・オボーは、歴史的な背景を持つ境界標識として、清朝から現代までの国境の変遷を見届けてきました。その名前と設置の由来は、当地に根付く文化と歴史の重要な部分を成し、地域の人々に深く関わる象徴とも言える存在です。

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