ノモス・グラスヒュッテ

ノモス・グラスヒュッテ（NOMOS Glashütte）は、1990年にドイツの時計産業の中心地であるグラスヒュッテに創業した時計メーカーであり、そのブランド名です。バウハウスのデザイン哲学を色濃く反映した、シンプルで機能美を追求したデザインが特徴です。

歴史

1906年から1910年にかけて、グラスヒュッテには同名の「ノモス」という時計会社が存在していました。しかし、現代のノモス・グラスヒュッテの社史にはその記述がなく、直接的な関係はないと考えられています。

現代のノモスは、1990年にローラント・シュヴァートナー（Roland Schwertner）によって設立されました。創業当初から、タンジェント、テトラ、オリオン、ルートヴィヒといった、現在もブランドを代表するモデルを販売しています。

デザイン

タンジェントに代表されるノモスの時計は、バウハウスのデザイン思想に基づき、極めてシンプルで機能的なデザインをしています。装飾を排し、必要最小限の要素で構成されたデザインは、ドイツ国内外で高く評価され、レッド・ドット・デザイン賞をはじめとする数々のデザイン賞を受賞しています。

ムーブメント

創業当初、ノモスの時計にはETA社のPeseux 7001を改造したムーブメントが使用されていました。しかし、2005年にはムーブメントの自社開発に成功し、コート・ド・ジュネーブ仕上げを施した自社製ムーブメント搭載モデルの出荷を開始しました。現在では、タンジェント・スポーツを除く全てのモデルがシースルーバック仕様となっており、美しい装飾が施されたムーブメントを鑑賞することができます。

2007年には、ドイツの高級時計店ヴェンペ（Wempe）のために、複雑機構の粋と言われるトゥールビヨンを搭載したムーブメントを製作するなど、新興メーカーでありながら高い技術力を持つマニュファクチュールとして知られています。

モデルラインナップ

2024年現在、ノモス・グラスヒュッテは、以下のモデルを展開しています。

タンジェント(Tangente): ノモスを代表するフラッグシップモデル。日付表示やパワーリザーブ表示など、様々なバリエーションがあります。
メトロ(Metro): ドットインデックスが特徴的なモデル。地下鉄の路線図からインスピレーションを得たデザインです。
ラドウィッグ(Ludwig): ローマンインデックスを採用したクラシカルなモデル。
オリオン(Orion): バーインデックスが上品な印象を与えるモデル。
テトラ(Tetra): スクエアケースが特徴的な、個性的なモデル。
ミニマティック(Minimatik): 薄型ケースに自動巻きムーブメントを搭載したモデル。
クラブ(Club): カジュアルなデザインで、ノモスのエントリーモデルとしても人気です。
アホイ(Ahoi): 防水性を高めたモデルですが、ISO 6425:1996 規格のダイバーズウォッチではありません。
アウトバーン(Autobahn): ヴィンテージ・スポーツカーを彷彿とさせる、ヴェルナー・アイスリンガーによるデザイン。
タンゴマット(Tangomat): タンジェントをベースに、自動巻きムーブメントを搭載したモデル。
チューリッヒ(Zürich): ワールドタイム機能搭載モデルと、シンプルなスモールセコンドモデルがあります。スイスのインダストリアルデザイナー、ハンネス・ヴェットシュタインがデザインを手がけました。
ラックス(Lux): トノーケースを採用したモデル。ムーブメントもトノー型のDUW 2002が搭載されています。
* ラムダ(Lambda): 18Kホワイトゴールドまたはローズゴールドのケースを採用した、ノモスの中でも特に高価格帯のモデルです。

ムーブメント

ノモス・グラスヒュッテは、自社でムーブメントの開発・製造を行っています。高い精度と美しい仕上げが特徴です。

ノモス・グラスヒュッテは、その洗練されたデザインと高い技術力で、ドイツを代表する時計メーカーとしての地位を確立しています。

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