ノリリスク・ニッケル

ノリリスク・ニッケル：世界最大のニッケル・パラジウム生産企業

ノリリスク・ニッケル（MMC Norilsk Nickel）は、ロシアに拠点を置く世界最大級の非鉄金属生産企業です。特にニッケルとパラジウムの生産においては世界をリードしており、世界の主要な生産地であるロシア北部のノリリスク-タルナフ地域を中心に、採掘から製錬まで一貫して行っています。

概要

ノリリスク・ニッケルは、ニッケル、パラジウムの他に、白金、銅、コバルトなども生産しており、特に白金においては、子会社であるスティルウォーター・マイニング社の生産量を含めると、世界有数の生産者としての地位を確立しています。また、銅の生産量においても世界トップ10に入るなど、その規模は非常に大きなものとなっています。

同社は、NASDAQとRTS株式市場に上場しており、ロシアの著名な実業家であるウラジーミル・ポターニン氏とオレグ・デリパスカ氏が、それぞれ25%以上の株式を保有しています。

沿革

ノリリスク地域での鉱業生産は1920年代に始まり、1935年にはソ連政府によってノリリスク・コンビナートが設立されました。当初は強制労働によって支えられていましたが、次第に自発的な労働者が増加し、ソ連崩壊後の1993年に株式会社RAO ノリリスク・ニッケルとして再編されました。その後、民営化を経て、現在のノリリスク・ニッケルへと発展しました。

近年では、金鉱山資産の買収や、海外鉱山の買収などを積極的に行い、多国間操業体制を構築しています。2007年には、カナダのLionOre Mining International Ltd社を買収し、世界最大のニッケル生産企業となりました。

ノリリスク-タルナフ鉱床

ノリリスク-タルナフ地域には、世界最大級のニッケル・銅・パラジウム鉱床が存在します。この鉱床は、約2億5000万年前の火山活動によって形成されたもので、その埋蔵量は18億トン以上とも言われています。現在、地下1200mまでの層が採掘されており、探鉱は地下1800mまで行われています。

生産部門

ノリリスク・ニッケルは、以下の6つの主要な生産部門を抱えています。

MMCノリリスクニッケル 極地部門：タイミル半島での生産を担う主力部門
コラMMC社：コラ半島での採掘・精錬
スティルウォーター・マイニング社：北米での採掘・製錬
ノリリスク・ニッケル・ハルヤヴァルタ社：フィンランド唯一のニッケル精錬所
ノリリスク・ニッケル・アフリカ社：ボツワナと南アフリカでの操業
ノリリスク・ニッケル・オーストラリア社：オーストラリア西部の鉱山を所有

環境問題

ノリリスク・ニッケルは、長年にわたり大気汚染、土壌汚染、水質汚濁といった深刻な環境問題を抱えています。特に、精錬所から排出される二酸化硫黄による大気汚染は深刻で、地球全体の排出量の1%を占めるとも推定されています。また、重金属による土壌汚染も深刻で、汚染された土壌から白金やパラジウムが採掘できるほどです。

同社は、環境対策に多額の投資を行っていますが、依然として環境問題は解決されていません。国際的なNPOからは「世界で最も汚染された町」の一つとして名指しされており、その改善が求められています。

ライバル企業

ニッケルおよびパラジウムの生産においては、ヴァーレ・カナダ、BHPグループ、アングロ・プラチナなどがノリリスク・ニッケルの競争相手となります。

ノリリスク・ニッケルは、世界経済において重要な役割を担う企業である一方、環境問題という大きな課題を抱えています。持続可能な開発に向けて、環境対策への取り組みが不可欠となっています。

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