ノヴォズィプコフ

ノヴォズィプコフ：歴史と産業が交差するロシアの都市

ノヴォズィプコフは、ロシア西部のブリャンスク州に位置し、ベラルーシ、ウクライナとの国境に近い都市です。その歴史は古儀式派の信徒たちが迫害を逃れて移住したことに始まり、マッチ生産地として発展、そしてチェルノブイリ原発事故による放射能汚染の影響など、様々な出来事を経て現在に至ります。

歴史

1701年に初めて記録に登場したノヴォズィプコフは、元々「ズィプカヤ」という名の工芸と交易の町でした。1686年頃に、ロシア正教会の古儀式派信徒たちが迫害を逃れて移住し、この地を開きました。古儀式派はその後もノヴォズィプコフの人口の多くを占め、町の重要な一部として発展に貢献しました。

18世紀には行政区分の変更を経て、洪水を避けるために町が移転。「ノヴォ」（新しい）を冠したノヴォズィプコフという名に改められました。1809年には市の地位を得て、地域の中心都市として発展しました。

19世紀後半には最初の工場が建てられ、マッチの生産地として知られるようになります。20世紀初頭には10以上のマッチ工場が集中するほどでしたが、ロシア革命と内戦により生産は激減しました。

20世紀には、ウクライナ人民共和国やウクライナ国に属した時期を経て、ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国のブリャンスク州に編入されました。第二次世界大戦中にはドイツ軍に占領されましたが、赤軍によって奪還されています。

戦後、ソ連当局により閉鎖されていた救世主顕栄主教座大聖堂が再開され、古儀式派の精神的な中心都市としての役割を再び担うようになりました。1963年から2002年まで、ロシア古正教会の本拠地が置かれました。

しかし、1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故は、ノヴォズィプコフに深刻な影響を与えました。放射性降下物により、市とその周辺地域は強い放射能汚染に見舞われ、現在も居住禁止区域が存在します。

産業と交通

ノヴォズィプコフは、機械工業、電子部品工業、繊維工業、食品工業などの工場が立地しています。これらの産業は、地域の経済を支える重要な役割を果たしています。

交通の要衝でもあり、ブリャンスク＝ホメリ＝ブレストを結ぶ鉄道が通り、ノーウホロド＝シーヴェルシクィイ（ウクライナ）方面への支線が分岐しています。また、モスクワからキエフ方面へ延びるM3幹線道路から分岐するM13幹線道路が、ポーチェプからノヴォズィプコフを通り、ベラルーシへと続いています。

まとめ

ノヴォズィプコフは、その長い歴史の中で、宗教、産業、そして悲劇的な事故など、様々な出来事を経験してきました。現在も放射能汚染の影響が残るものの、市民は復興に向けて努力を続けています。この都市は、過去の教訓を胸に、未来へと歩み続けていくでしょう。

もう一度検索