ノーマン・サガード

ノーマン・サガード：宇宙への道を拓いた科学者、軍人、そして宇宙飛行士

ノーマン・サガード（Norman Earl Thagard、1943年7月3日生まれ）は、アメリカ合衆国の科学者であり、アメリカ海兵隊大尉、海軍飛行士、そしてアメリカ航空宇宙局（NASA）の宇宙飛行士という、多岐にわたる肩書きを持つ人物です。彼は特に、1995年3月14日にソユーズTM-21でミールEO-18ミッションに参加し、ロシアの宇宙船で宇宙へ行った最初のアメリカ人として広く知られています。

多様なキャリア

サガードは、そのキャリアを通じて、研究や教育の分野で数多くのポストを経験し、様々な学位を取得するための要件を満たしてきました。彼の学術的な追求と並行して、軍人としての経歴もまた特筆に値します。

1966年9月にはアメリカ海兵隊予備役に入隊。1967年には大尉に昇進し、1968年には海軍航空士として、第333海兵戦闘攻撃飛行隊に所属し、サウスカロライナ州ビューフォート海兵隊航空基地でF-4ファントム戦闘機に搭乗しました。1969年から1970年の間には、第115海兵戦闘攻撃飛行隊の一員としてベトナム戦争に出征し、163回もの出撃を経験。帰国後は、ビューフォート海兵隊航空基地の第251海兵戦闘攻撃飛行隊で兵器関連の任務に携わりました。

1971年には学業を再開し、電気工学の知識を深めるとともに、医学の学位も取得。NASAに加わる前は、サウスカロライナ医科大学の内科でインターンとして勤務していました。彼は医師免許も有しています。

パイロットとしての経験も豊富で、2200時間以上の飛行時間を誇り、その大半がジェット機によるものです。

NASAでの活躍

サガードは、1978年1月にNASAによって宇宙飛行士候補に選ばれました。1年間の訓練と評価を経て、1979年8月にはスペースシャトルミッションのミッションスペシャリストに任命されました。彼は5度の宇宙飛行を経験し、合計140日間を宇宙で過ごしました。

STS-7 (1983年): チャレンジャーの2度目の飛行で、ミッションスペシャリストとして参加。カナダとインドネシアの通信衛星の展開、シャトル・リモート・マニピュレータ・システム（カナダアーム）を使用した初のシャトルパレット衛星の展開と回収、アメリカとドイツ共同の材料科学ペイロードの運用などを行いました。また、宇宙飛行士の宇宙適応に関する医学試験も担当しました。
STS-51-B (1985年): スペースラブ3号ミッションに参加。船長とパイロットを補佐し、NUSAT衛星の展開や、実験動物の世話、流体や宇宙線に関する実験などを行いました。
STS-30 (1989年): アトランティスに搭乗し、金星探査機マゼランを展開。これはスペースシャトルから惑星探査機が展開された初の事例となりました。その他、流体や化学、電気嵐に関する実験も行いました。
STS-42 (1992年): ディスカバリーに搭乗し、ペイロードコマンダーとして国際微小重力実験室（IML-1）で様々な科学実験を実施。材料科学や生命科学における微小重力の影響を調査しました。
* ミールEO-18 (1995年): ソユーズTM-21に搭乗し、ロシアの宇宙ステーション「ミール」に滞在。115日間で28の実験を行いました。このミッションで、彼はロシアの宇宙船で宇宙へ行った最初のアメリカ人となりました。

サガードは、1995年7月7日にアトランティスで地球に帰還しました。

ノーマン・サガードは、科学者、軍人、宇宙飛行士として、その多岐にわたる才能と経験を通じて、宇宙開発の分野に多大な貢献を果たしました。彼の功績は、今後も長く語り継がれることでしょう。

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