STS-30

スペースシャトル STS-30 ミッション解説

STS-30は、NASAのスペースシャトル計画における29回目のミッションであり、アトランティスにとっては4回目の飛行でした。1989年5月4日にケネディ宇宙センターから打ち上げられ、5月8日に地球へ帰還しました。このミッションの最大の目的は、金星探査機マゼランを軌道へ投入することでした。

乗組員

船長: デヴィッド・ウォーカー (2回目の飛行)
操縦手: ロナルド・グレーブ (2回目の飛行)
ミッションスペシャリスト1: マーク・リー (1回目の飛行)
ミッションスペシャリスト2: ノーマン・サガード (3回目の飛行)
* ミッションスペシャリスト3: マリー・クリーヴ (2回目の飛行)

スペースシャトルの整備

STS-27ミッション後、アトランティスは3ヶ月間、オービタ整備施設で徹底的な点検を受けました。特に、前回の飛行で損傷した熱防護タイルの交換が重点的に行われました。その後、機体はシャトル組立棟へ移動し、外部燃料タンク(ET-29)と固体ロケットブースターが取り付けられました。そして、3月22日に第39発射施設Bへ移動しました。

ミッションの概要

1989年5月4日14時48分(EDT)、アトランティスはケネディ宇宙センター第39発射施設Bから打ち上げられました。主要ペイロードであるマゼランは、打ち上げから約6時間後に無事放出されました。このマゼラン計画は、アメリカにとって11年ぶりの惑星探査ミッションとなりました。

当初、打ち上げは4月28日に予定されていましたが、メインエンジンの液体水素循環ポンプの問題や、オービタと外部燃料タンク間の水素循環配管からの蒸気漏れが発生したため、打ち上げ31秒前に延期されました。再設定された5月4日も、付近の雲の多さと横風の影響で、5分間の延期を余儀なくされました。

5月7日には、軌道制御に不可欠な汎用コンピュータ4つのうち1つが故障するというトラブルが発生しました。しかし、乗組員は予備のコンピュータと交換することで対応しました。これは、軌道上でコンピュータが交換された初の事例となりました。この故障は、乗組員の安全やミッションの主要な目的に影響を与えるものではありませんでしたが、コンピュータ交換作業中は、いくつかの実験が中断されました。また、打ち上げ中に船尾右側の3つのスラスタのうち1つが故障しましたが、ミッションへの影響はありませんでした。

STS-30の乗組員は、他にもいくつかの小さな問題に遭遇しました。地球の撮影に使用されたハッセルブラッドカメラは、ミッション3日目にシャッターが動かなくなり、使用不能となりました。管制塔からオービタへ画像や図を送るために使用されるText and Graphics Systems (TAGS)は、紙詰まりのため、ミッション2日目に電源が切られました。さらに、船長のウォーカーと操縦手のグレイブは、微小重力が循環器系に与える影響を測定するための血圧計の不具合に直面しました。宇宙に出て2日目には、調理室の給水システムが故障し、食事の準備に支障をきたしました。

アトランティスは、1989年5月8日にカリフォルニア州のエドワーズ空軍基地第22滑走路に着陸しました。着陸の数分前に、強い横風のため、第17滑走路から第22滑走路へ着陸場所が変更されました。ミッションの総飛行時間は、4日間と56分間でした。

ペイロードと実験

マゼランは、打ち上げから6時間14分後にペイロードベイから放出されました。1時間後、2つの推進エンジンが点火され、探査機は金星への軌道に乗りました。マゼランは1990年8月に金星に到着し、243日間にわたって金星表面をレーダーでマッピングするミッションを実行しました。

ミッドデッキでは、3つの実験が行われました。ミッションスペシャリストのクリーブは、ラップトップコンピュータを用いてFluids Experiment Apparatus (FEA)をモニターしました。ロックウェル・インターナショナルとNASAの共同ミッションとして史上初めてシャトルに搭載された8mmビデオカメラを用いて、乗組員はFEA実験の様子などを撮影し、地球に伝送しました。ペイロードベイのビデオカメラは、Mesoscale Lightning Experimentの一環として、軌道上からの嵐の記録に使用されました。アトランティスは、ハワイにあるアメリカ空軍マウイ光学観測所の電子光学センサーの校正ターゲットとしても3度使用されました。

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