ノーマン・ラモント

ノーマン・ラモント：イギリスの政治家、財務大臣、一代貴族

ノーマン・ステュアート・ヒューソン・ラモント（Norman Stewart Hughson Lamont, Baron Lamont of Lerwick, 1942年5月8日 - ）は、イギリスの保守党に所属する政治家であり、一代貴族です。1990年から1993年まで財務大臣を務め、その手腕と政策は、イギリス経済に大きな影響を与えました。

生い立ちと教育

1942年、スコットランドのシェトランド諸島ラーウィックで、外科医の父ダニエル・ラモントと母ヘレン・アイリーンの間に生まれました。グリムズビーで育ち、ロレット・スクールを経てケンブリッジ大学フィッツウィリアム・カレッジに進学。経済学を専攻し、1964年にはユニオンの代表、翌年にはダンカン・サンディスのアシスタントを務めました。また、ケンブリッジ大学保守協会の議長も務めるなど、早くから政治の世界に関心を示していました。

ケンブリッジ時代には、マイケル・ハワード、ケネス・クラーク、レオン・ブリタン、ジョン・ガマーといった、後に保守党の主要人物となる同級生たちと親交を深めました。彼らはしばしば「ケンブリッジ・マフィア」と呼ばれました。

1971年から72年にかけては、中道右派のシンクタンクであるボウ・グループの議長を務めました。大学卒業後は、保守党の中枢機関であるCRDで勤務し、その後、銀行員へと転身しました。

民間での経歴

投資銀行N・M・ロスチャイルド&サンズに就職し、ロスチャイルド・アセット・マネジメントの責任者に就任しました。現在も、ワーキング・ピアとしての役割に加え、RABキャピタル（ヘッジファンド）、バリ・グループ（貿易商社）の取締役、ロッチ・プロパティ・グループの顧問など、様々な金融関係企業の取締役やコンサルタントを務めています。また、複数の投資ファンドの責任者でもあります。2008年12月には、オンライン広告会社Phormの役員に就任。さらに、バリ・グループの社外取締役、イギリス・ルーマニア商工会議所の名誉理事長、イギリス・イラン商工会議所の議長も務めています。その他、公的通過金融機関フォーラムの顧問委員会委員として、財政金融システムに関する会議に定期的に参加しています。

国会議員としてのキャリア

1972年に下院議員に初当選し、政界でのキャリアをスタートさせました。

財務大臣時代と「黒い水曜日」

1990年、財務大臣に就任。しかし、その在任中に「黒い水曜日」（または「白い水曜日」）と呼ばれる通貨危機を経験します。1992年9月16日、ジョージ・ソロスによるポンドへの投機攻撃に対し、ラモントは当初、金利引き上げで対抗しようとしましたが、最終的にはERM（欧州為替相場メカニズム）からの離脱を余儀なくされました。この日は、ジョン・メージャー政権にとって屈辱的な日と見なされましたが、結果的にイギリスは独自の金融政策を取り戻し、ポンドの下落が経済の回復を後押ししました。ERM離脱から2008年の世界金融危機まで、イギリス経済は成長を続けました。

EU離脱への支持

2016年6月のイギリスの欧州連合離脱是非を問う国民投票では、EUからの離脱を支持しました。ラモントは、大量の移民を受け入れる経済的な議論は成り立たず、イギリスは移民をコントロールする必要があると主張しました。また、貿易に関しても、ドイツにとってイギリスは重要な輸出先であり、イギリスとの貿易協定が不確実な状況は、ドイツの自動車メーカーの収益に悪影響を及ぼす可能性があると指摘し、EU離脱後もイギリスがEUとの貿易協定を結べると主張しました。

ノーマン・ラモントは、その政治 करियरを通じて、イギリス経済に大きな影響を与えた人物として記憶されています。

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