ハインリヒ・クーデンホーフ＝カレルギー

ハインリヒ・クーデンホーフ＝カレルギー伯爵

ハインリヒ・ヨハン・マリア・クーデンホーフ＝カレルギー（1859年10月12日 - 1906年5月14日）は、オーストリア＝ハンガリー帝国の外交官であり、伯爵でした。

生涯

オーストリア貴族のフランツ・カール・クーデンホーフと、ポーランド貴族のマリー・カレルギーの長男として誕生しました。彼は外交官としてギリシャ大使などを歴任し、1892年には代理公使として日本に着任しました。

日本人女性との出会い

来日後まもなく、乗馬中に落馬した際、当時18歳の日本人女性、青山みつ（後のクーデンホーフ＝カレルギー光子）に助けられました。これがきっかけで二人は出会い、同年3月16日に結婚しました。東京で1893年に長男ヨハン（光太郎）、1894年に次男リヒャルト（栄次郎）が誕生しました。次男のリヒャルトは、後に欧州統合を提唱し、欧州連合の理念の先駆者として知られるようになります。

帰国と家族

1896年にオーストリア＝ハンガリー帝国に帰国。父の死により家督を相続することになり、外交官としてのキャリアを諦めました。光子を伝統や格式を重んじる家族から守り、「光子を侮辱する者は許さない」とまで言ったと伝えられています。この背景には、ハインリヒ自身が過去に平民の女性マリーと恋に落ちるも、結婚を反対されマリーが自殺したという悲しい出来事があったと言われています。帰国後、光子との間にさらに5人の子供をもうけました。

父母の死後、1903年からは、自身のクーデンホーフ姓と妻の青山姓を合わせたクーデンホーフ＝カレルギーの複合姓を使用するようになりました。末子のカルル（光）が生まれたのもこの頃です。ハインリヒ・クーデンホーフ＝カレルギーは1906年に心臓発作で急逝し、遺言により光子が家督を相続しました。

日本のオペラ事始め

1894年11月24日、東京音楽学校奏楽堂で、在日外国人を中心とした赤十字の慈善コンサートが開かれました。そのメインプログラムとして、シャルル・グノーの歌劇『ファウスト』第1幕が抜粋上演され、ハインリヒはメフィストフェレス役を演じました。ファウスト役はイタリア大使館員のブラッチャリーニが担当しました。管弦楽は宮内省雅楽部、指揮はフランツ・エッケルトが務め、ハインリヒはドイツ語で、ブラッチャリーニはイタリア語で歌いました。この公演は、日本で初めてのオペラ公演とされており、11月24日は「オペラの日」として制定されています。当日は旅順口の戦いの戦勝の知らせも届いたこともあり、募金活動は成功を収めました。

参考文献

増井敬二、昭和音楽大学オペラ研究所編『日本オペラ史〔上〕 -1952』水曜社、2003年12月。ISBN 4-88065-114-1。

関連項目

ミヒャエル・クーデンホーフ＝カレルギー
青山二郎

外部リンク

RCK通信（リヒャルト・クーデンホーフ＝カレルギー通信） 東北大学大学院法学研究科・法学部公式サイト

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