ハインリヒ2世 (オーストリア公)

ハインリヒ2世ヤゾミルゴット：オーストリア発展の礎を築いた公爵

ハインリヒ2世ヤゾミルゴット（1107年 - 1177年）は、バーベンベルク家出身で、中世オーストリアの重要な統治者です。彼はライン宮中伯、オーストリア辺境伯、バイエルン公を歴任し、後にオーストリア公となりました。彼の治世は、オーストリアの政治的地位の向上と文化的な発展に大きく貢献しました。

生涯

ハインリヒ2世は、オーストリア辺境伯レオポルト3世と、神聖ローマ皇帝ハインリヒ4世の娘アグネスの間に生まれました。彼は、バイエルン公を兼ねたレオポルト4世の兄であり、シュヴァーベン大公フリードリヒ2世、ローマ王コンラート3世の異父弟でもあります。

当初、バイエルンはヴェルフ家のハインリヒ傲岸公が領有していましたが、コンラート3世がこれを取り上げ、レオポルト4世に与えました。レオポルト4世の死後、ハインリヒ2世がバイエルン公国とオーストリア辺境伯領を相続しましたが、ハインリヒ傲岸公の息子であるザクセン公ハインリヒ獅子公が、皇帝フリードリヒ1世（ハインリヒ2世の甥）にバイエルンの返還を要求しました。1156年、フリードリヒ1世はこの要求を受け入れ、バイエルンをハインリヒ獅子公に返還しました。その代わりとして、ハインリヒ2世はオーストリア公に叙爵され、オーストリア辺境伯領は公爵領に昇格しました。

ハインリヒ2世は、1147年にウィーンのシンボルであるシュテファン大聖堂の建設を開始しました。また、1155年頃には、首都をクロスターノイブルクからウィーンへ遷都し、以後ウィーンはオーストリアの中心都市として発展を遂げました。1177年に死去し、オーストリア公位は2番目の妃テオドラ・コムネナとの間の息子レオポルト5世が継承しました。

家族

ハインリヒ2世は、生涯で2度の結婚をしています。

最初の妻は、1142年に結婚した神聖ローマ皇帝ロタール3世の娘でハインリヒ獅子公の母でもあるゲルトルートでしたが、彼女は翌1143年に亡くなりました。

2度目の結婚は1148年、東ローマ皇帝マヌエル1世の姪（マヌエル1世の次兄アンドロニコス・コムネノスの娘）テオドラ・コムネナと再婚し、3人の子供をもうけました。

アグネス（1154年? - 1183年） - ハンガリー王イシュトヴァーン3世と結婚、後にケルンテン公ヘルマンと結婚
レオポルト5世（1157年 - 1194年）
ハインリヒ1世（1158年 - 1223年） - メードリンク公

評価

ハインリヒ2世ヤゾミルゴットは、オーストリアの歴史において重要な役割を果たした人物です。彼は、オーストリアを公爵領に昇格させ、ウィーンを首都として発展させるなど、その後のオーストリアの繁栄の礎を築きました。彼の治世は、オーストリアの政治的、文化的なアイデンティティを確立する上で重要な意味を持っています。

参考文献
エーリヒ・ツェルナー 『オーストリア史』 彩流社、2000年

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