ハウパーヴィラ

ハウパーヴィラは、かつてタイガーバームガーデンと呼ばれていたシンガポールにある独特なテーマパークです。この庭園は、軟膏薬タイガーバームの販売で巨額の富を築いた胡文虎と胡文豹兄弟によって建設されました。園内には、中国の儒教、道教、仏教、そして様々な伝説や説話に基づいた、1000以上もの奇妙な像と150ものジオラマが所狭しと並んでいます。

ハウパーヴィラの概要

ハウパーヴィラ、または虎豹別墅という名前は、この庭園を建設した兄弟の名前、胡文虎（Aw Boon Haw）と胡文豹（Aw Boon Par）に由来しています。園内には、地獄や極楽の様子を表した像、『西遊記』や『山海経』に登場する神仙や妖怪、瑞獣、さらに『二十四孝』のような道徳説話の場面を再現したものが多数展示されています。これらの像は主にコンクリートで作られ、極彩色で彩られており、そのグロテスクにも見える造形が特徴です。また、日本の力士や自由の女神像など、中国とは直接関係のない像も混ざっているという、独特のキッチュな景観がこの庭園の大きな特徴となっています。

ハウパーヴィラの歴史

ハウパーヴィラは、1937年に「タイガーバームガーデン」としてシンガポールに開園しました。これは、1935年に完成した香港のタイガーバームガーデンに続く2番目の施設でした。当時、シンガポールはタイガーバームの販売拠点であり、この庭園は中国文化を紹介するとともに、タイガーバームの広告塔としての役割も担っていました。

しかし、1942年にシンガポールが日本軍に占領されると、タイガーバームガーデンも日本軍に接収されました。その後、胡文豹と胡文虎が相次いで亡くなり、戦中・戦後にかけて庭園は整備されないまま荒廃しました。

1950年代後半になり、胡文虎の息子である胡一虎によって再整備が進められましたが、最終的にはシンガポール観光協会に売却され、胡一族の手を離れることとなりました。1985年にはハウパーヴィラと改称され、1990年には園内を改装してアトラクションを配した有料の遊園地「ドラゴンワールド」として再オープンしました。しかし、経営がうまくいかず、2001年には再び無料化され、遊具も撤去されて元の庭園としての姿に戻りました。

虎豹別墅の名前を冠する施設は世界に3つ存在しましたが、2000年に香港のタイガーバームガーデンは閉鎖され、中国福建省の虎豹別墅は庭園ではなく胡一族に関する博物館であるため、現在ではこのハウパーヴィラが、胡兄弟が作った唯一の庭園として一般公開されています。

ハウパーヴィラの魅力

ハウパーヴィラの最大の特徴は、その独特な世界観です。園内に所狭しと並ぶ奇妙な像やジオラマは、訪れる人々を中国の神話や伝説の世界へと誘います。そのグロテスクにも見える造形は、ある意味で非常に魅力的であり、一度訪れたら忘れられない強烈な印象を残します。

また、無料で入場できることも魅力の一つです。シンガポールを訪れた際には、ぜひハウパーヴィラに足を運び、このユニークなテーマパークを体験してみてください。

基本情報

所在地：シンガポール Pasir Panjang Road 沿い
開園時間：9:00から22:00
入場料：無料

関連項目

タイガーバームガーデン (香港)
タイ王国のハウパーキッズスペース

参考文献

谷川晃一・ねじめ正一編著『タイガーバームガーデン』（1987年、新潮文庫、ISBN 4-10-102111-2）

外部リンク

タイガーバームガーデン@シンガポール（動画 詳細レポート）
シンガポール観光協会による紹介（英語）

ハウパーヴィラは、その奇妙な魅力と歴史的な背景から、シンガポールを代表する観光スポットの一つとなっています。訪れる人々は、この独特な空間で、中国文化の奥深さと、タイガーバーム兄弟の足跡を感じることができるでしょう。

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