ハウメア (準惑星)

準惑星ハウメアの詳細解説

ハウメア（136108 Haumea）は、太陽系の外縁部に位置する準惑星であり、冥王星型天体（Plutoid）に分類されます。特徴的な細長い形状を持ち、高速自転や衛星、環を持つ特異な天体として知られています。

発見の経緯

ハウメアは、スペインのシエラ・ネバダ天文台のホセ・ルイス・オルティスらのグループによって2005年7[[月29日]]に公表されました。しかし、その発見の裏には、カリフォルニア工科大学のマイケル・ブラウンらのグループとの間で、観測データの利用に関する論争がありました。

オルティスらのグループは、2003年の観測データを再分析することでハウメアを発見しましたが、ブラウンらのグループも2004年の観測でこの天体を捉えていました。小[[惑星]]センター（MPC）は、最初の報告者を発見者とする原則に基づき、オルティスらのグループを発見者として登録しました。

しかし、ブラウンは、オルティスらの発表が、自身の共同研究者の発表タイトルが公開された直後だったこと、そして、その発表タイトルに含まれていたハウメアの仮称「K40506A」をGoogle検索すると、彼らが使用していた望遠鏡の観測記録にアクセスできたことから、オルティスらのグループが不正な手段で自身の観測データにアクセスしたのではないかと疑念を抱きました。調査の結果、オルティスらの研究機関から、通常は望遠鏡の使用者しかアクセスしない観測記録に繰り返しアクセスがあったことが判明し、倫理的な問題が指摘されました。

この一件は、発見の経緯だけでなく、天文学における観測データの取り扱いに関する倫理的な問題を浮き彫りにしました。

名称の由来

ハウメアは、2006年9[[月8日]]に小[[惑星]]番号136108番が与えられ、同時にハワイ神話の豊穣の女神ハウメアに因んで命名されました。この名前は、ブラウンの共同研究者であるデイヴィッド・ラビノウィッツによって提案されました。ハウメアが多くの子を産んだという神話と、ハウメアが天体衝突によって複数の衛星やハウメア族の小[[惑星]]を形成したという事実が関連付けられています。

オルティスらのグループは、イベリア半島に伝わる死と再生を司る女神アタエシナ（Ataecina）を提案しましたが、国際天文学連合（IAU）が、海王星との共鳴天体に地下世界の神話からの名前を与える方針であったため、却下されました。

発見当初は、ブラウンらのグループがクリスマス頃にこの天体の存在に気づいたことから「サンタ」という愛称で呼ばれていました。

ハウメアの物理的性質

形状と大きさ

ハウメアは、冥王星の約3分の1の質量を持ちながら、自転周期が約4時間と非常に短いため、重力平衡形状に達することができず、細長い３軸不等楕円体であると考えられています。長軸の長さは少なくとも2300km以上と推定されており、太陽系外縁天体の中では、冥王星やエリスに次いで3番目に大きいとされています。しかし、正確なサイズは、アルベド（反射率）が不明なため、まだ確定していません。

軌道

ハウメアは、海王星との軌道共鳴関係を持たないキュビワノ族に分類されますが、大きな離心率と軌道傾斜角を持っています。これは、過去に海王星によって軌道が散乱されたためと考えられています。発見当時、太陽から約51天文単位（au）の距離にありましたが、近日点距離は約35auです。公転面は他の惑星に対して約28度傾いており、公転速度が遅いため、発見が遅れました。

表面

ジェミニ天文台による分光分析によると、ハウメアの表面には水の氷が存在しています。これは、冥王星の衛星カロンにも見られる特徴です。

衛星と環

ハウメアには、2つの衛星と環が存在することが確認されています。

衛星

ハウメアの2つの衛星は、2005年1月から6月にかけて、ケック天文台での観測によって発見されました。第1衛星はヒイアカ、第2衛星はナマカと名付けられました。どちらもハワイ神話の女神に由来しており、ハウメアの娘とされています。これらの衛星は、ハウメアの質量測定や自転速度の推定に重要な役割を果たしました。

環

2017年には、準惑星としては初めてハウメアの周囲に環が存在することが確認されました。これは、ハウメアが遠方の恒星を掩蔽する様子を観測していた際、掩蔽の直前と直後に恒星の光が暗くなる現象が観測されたことによって発見されました。この環は、ハウメアから約1000kmの距離に位置し、幅は約70kmと考えられています。この環は、過去にハウメアに天体が衝突した際に生じた破片によって形成されたと考えられています。

ハウメア族

ハウメアは、外縁天体で最初に発見された族（collisional family）の最大の天体です。ハウメア族は、同一の母天体から形成された小天体群で、ハウメアの2つの衛星、(55636) 2002 TX300、(24835) 1995 SM55、(19308) 1996 TO66、(120178) 2003 OP32、そして(145453) 2005 RR43などが含まれます。これらの天体は、ハウメアと共通の軌道要素を持ち、過去の天体衝突によって形成されたと考えられています。

まとめ

ハウメアは、その独特な形状、高速自転、衛星と環、そしてハウメア族の存在など、非常に特異な特徴を持つ天体です。発見の経緯から物理的な特性、そして衛星や環の存在に至るまで、多くの興味深い要素を含んでおり、太陽系外縁天体の研究において重要な役割を果たしています。

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