ハエドクソウ

ハエドクソウ（蠅毒草）

概要

ハエドクソウ（学名：Phryma leptostachya subsp. asiatica）は、ハエドクソウ科に属する多年草であり、特にその有毒性が注目されています。この植物は日本やネパール、インド、パキスタン西部などに広く分布し、クロンキスト体系ではクマツヅラ科に分類されることもあります。

特徴

ハエドクソウの茎は最大で約80cmの高さに達し、直立しつつ上部で枝分かれします。茎には下向きの短い毛が生えており、外観に特徴的な印象を与えます。葉は対生しており、長い葉柄を持っています。葉自体は卵円形または長楕円形で、長さ7〜10cm、幅4〜7cm程度です。葉の両面には毛が生えており、特に葉脈の上には目立つ毛が観察されます。また、葉の縁には粗い鋸歯があります。

花期は7月から8月にかけてで、茎の先端や葉腋から伸びる枝には細長い穂状の花序が形成され、対生状に花をつけます。花穂の長さは10〜20cmほどで、各花は小さな苞に包まれ、個別に咲きます。萼は筒状で先端が唇形をしており、成長した果実の萼には3歯の刺状の部分があります。花冠の色は白色または淡桃色で、筒状の構造を持ち、上唇は浅く2裂しています。雄蕊は4個、子房は2個の心皮で構成されており、果実は蒴果として成長します。果実が成熟すると、萼部分の刺状の歯が成長し硬化して、植物の拡散に寄与します。

分類

アメリカハエドクソウが基本種とされており、主にアメリカ合衆国北東部に自生しています。一方、日本に見られるハエドクソウは、議論の余地があるものの本種として扱われる場合もあります。大きめの変種としてはナガバハエドクソウ（P. leptostachya subsp. asiatica (H.Hara) Kitam. f. oblongifolia (Koidz.) Ohwi）が挙げられ、形状によって識別されます。

和名の由来と成分

和名「ハエドクソウ」は、この植物が持つ有毒成分に由来しています。その毒性を利用して、根をすりおろしたり、煮詰めた汁を使ってハエ取り紙を作ることがあります。主な有毒成分はリグナンの一種であるフリマロリン（Phrymarolin）で、誤って摂取すると嘔吐を引き起こす恐れがあります。

関連項目

この植物に似た特徴を持つ植物に「ひっつき虫」があり、環境や成長においても興味深い相関関係があります。ハエドクソウの持つ独特の特性は、生態系における役割を考える上でも重要です。

参考文献

• - 北川尚史監修、伊藤ふくお写真、丸山健一郎文 『ひっつきむしの図鑑』 トンボ出版、2003年、ISBN 4-88716-147-6
• - 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本III合弁花類』、1981年、平凡社

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