ハクサンシャクナゲ

ハクサンシャクナゲ（白山石楠花）

ハクサンシャクナゲ（学名: Rhododendron brachycarpum）は、ツツジ科ツツジ属シャクナゲ亜属に分類される常緑低木です。別名としてシロバナシャクナゲ、ウラゲハクサンシャクナゲとも呼ばれます。

特徴

ハクサンシャクナゲは、亜高山帯の針葉樹林内でよく見られる代表的な花木です。その分布域は、北海道、本州（中部地方以北）、四国（石鎚山）、そして朝鮮半島北部にまで広がっています。生育環境は、亜高山帯からハイマツ帯にかけての針葉樹林帯です。

樹高は生育環境によって大きく異なり、亜高山帯では3mほどに成長するのに対し、ハイマツ帯のような厳しい環境下では50cmにも満たない場合があります。老木の樹皮は不規則に剥がれ落ちるのが特徴です。

葉は長楕円形で革質であり、縁が裏側に巻いていることが多いです。成木の葉の裏には毛が生えていることがあります。

花期は7月から8月にかけてで、白色から淡紅色をした花を咲かせます。花の内側には薄い緑色の斑点が見られます。

品種

八重咲きの品種として、ネモトシャクナゲ（Rhododendron brachycarpum D.Don ex G.Don f. nemotoanum (Makino) Murata）があります。また、北海道でエゾシャクナゲと呼ばれるものは、ハクサンシャクナゲの一品種であるウラゲハクサンシャクナゲ（Rhododendron brachycarpum f. brachycarpum）のことです。

天然記念物

ハクサンシャクナゲの自生地は、その貴重さから国の天然記念物に指定されている場所があります。以下がその例です。

吾妻山ヤエハクサンシャクナゲ自生地（福島県福島市）：特にネモトシャクナゲは福島県の花として指定されています。
草津白根のアズマシャクナゲおよびハクサンシャクナゲ群落（群馬県吾妻郡草津町）

これらの地域では、ハクサンシャクナゲが自然のままに美しい姿を保っています。

関連情報

「ハクサン」を冠する和名の植物の種：ハクサンシャクナゲの他にも、ハクサンイチゲやハクサンフウロなど、「ハクサン」を冠する植物がいくつか存在します。
ロドデノール：ツツジ科の植物に含まれる成分で、ハクサンシャクナゲにも含まれています。

参考文献

辻井達一『続・日本の樹木』中央公論新社〈中公新書〉、2006年2月25日。ISBN 4-12-101834-6
平野隆久監修 永岡書店編『樹木ガイドブック』永岡書店、1997年5月10日、223頁。ISBN 4-522-21557-6

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