ハグアレス (ラグビー)

ハグアレス（西: Jaguares）は、アルゼンチンラグビー協会によって設立され、南半球を中心に展開される世界最高峰のプロラグビーリーグ、スーパーラグビーに挑戦したラグビーユニオンチームです。首都ブエノスアイレスを活動拠点としていましたが、2020年にその歴史に幕を閉じ、解散しました。チームの名称はスペイン語で「ジャガー」を意味しており、日本では「ジャガーズ」と表記されることもありますが、現地のスペイン語発音や大会の公式英語実況では「ハグアレス」に近い音で発声されていました。力強いジャガーのイメージから、「探し求めること」「スキル」「パワー」といった要素がチームの理念や精神として込められています。

アルゼンチン国内には、プロフェッショナルな国内ラグビーリーグが存在せず、選手の競技力向上は国外での経験に頼る部分が大きいという背景がありました。このため、アルゼンチンラグビー協会は国内の有望選手を集めたエリートチーム「パンパスXV」を編成し、南アフリカのボーダコムカップやIRBパシフィックラグビーカップといった海外の大会に派遣して選手を育成しました。特にIRBパシフィックラグビーカップでは、2014年と2015年に連続優勝を果たすなど、国際レベルでの戦績を積み重ねました。こうした国内選手の活躍が、アルゼンチンラグビー協会が長年目標としていたスーパーラグビーへのチーム参入に向けた交渉の追い風となりました。

スーパーラグビーを統括するSANZAR（現在のSANZAAR）は、2016シーズンからの大会規模拡大を計画しており、これがアルゼンチンチーム受け入れの機会となりました。2013年には大会拡大が発表され、2014年初頭には、既存の15チームから18チームへの拡大と、ブエノスアイレスを拠点とするアルゼンチンチームの新規参入、そしてそのチームが南アフリカカンファレンスに属することが承認されました。そして2014年11月、SANZAR執行理事会は、南アフリカのキングス、日本のサンウルブズと共に、アルゼンチンラグビー協会が組織するチームとして、ハグアレスのスーパーラグビー参加を正式に決定しました。

鳴り物入りで2016シーズンからスーパーラグビーに参戦したハグアレスは、当初は試行錯誤の連続でしたが、世界のトップレベルでの戦いを経験する中で着実に成長を遂げました。そして参戦4年目となる2019シーズン、チームは歴史的な快進撃を見せます。レギュラーシーズンを南アフリカカンファレンス首位で通過し、プレーオフに進出すると、次々と強豪を破り、チーム史上初となる決勝進出を果たしました。決勝戦ではニュージーランドの強豪クルセイダーズに3対19で敗れ、タイトル獲得はなりませんでしたが、準優勝という最高成績を収め、アルゼンチンラグビーのポテンシャルを世界に強く印象付けました。

しかし、ハグアレスのスーパーラグビーにおける歩みは、予期せぬ形で終わりを迎えます。2020シーズンは、世界中に拡大したCOVID-19パンデミックの影響を受け、シーズン途中で大会が中断・中止となりました。この状況を受け、ハグアレスはスーパーラグビーからの撤退を決定し、2020年をもってチームは解散となりました。活動期間は短かったものの、ハグアレスがスーパーラグビーで見せた情熱的なプレーと、2019年の準優勝という偉業は、アルゼンチンラグビー史において重要な一章として記憶されています。

ハグアレスのホームスタジアムは、ブエノスアイレスにあるエスタディオ・ホセ・アマルフィターニでした。このスタジアムは、サッカークラブのCAベレス・サルスフィエルドも本拠地として使用しています。チームには、フアン・マルティン・エルナンデス、パブロ・マテラ、フェデリコ・ニコラス・サンチェスといった、アルゼンチン代表「ロス・プーマス」で活躍した多くの著名な選手たちが所属していました。

もう一度検索