ハシグロリュウキュウガモ

ハシグロリュウキュウガモ (Dendrocygna arborea)

ハシグロリュウキュウガモは、カモ目・カモ科に属する特異な鳥類で、その広がりを持つ生息地はアメリカ合衆国のプエルトリコやカリブ海の島々に広がっています。具体的には、アンティグア・バーブーダ、イギリスのケイマン諸島やタークス・カイコス諸島、キューバ、ジャマイカ、ドミニカ共和国、ハイチ、バハマ、そしてフランスのグアドループなどが確認されています。興味深いことに、グアドループでは2008年に初めて繁殖が観察されました。

形態

この鳥は全長で48から56センチメートルほどで、リュウキュウガモ属の中では最大の種となっています。体の特徴としては、特に後頭部にある羽毛が膨れ上がり瘤のような形状を呈します。上半身は褐色で、所々に灰褐色の斑紋が散在しています。喉から胸部は淡褐色、下方向にかけて濃褐色が段階的に色味を帯びています。また、体側面は黒色で、そこにも雪のように白い斑が入っているのが特徴です。尾羽の下部は黒色ながら、基部には白斑が認められます。目の虹彩は黒褐色、嘴は黒く、後肢は黒または濃灰色をしています。

生態

ハシグロリュウキュウガモは主にマングローブや湿地林など特定の環境下で生息しています。この鳥は夜行性であり、日中は群れで大木の上で休息をとることが一般的です。食性は植物中心で、特にダイオウヤシ属の果実を好んで食べ、その他に液果や草本の種子なども摂取していることが分かります。

繁殖においては、卵生であり、ヤシ類などの大木の樹上や樹洞に巣を作ります。一度の産卵で6から10個の卵を産み、抱卵期間は約30日です。

人間との関係

しかしながら、ハシグロリュウキュウガモは人間の活動によって生息数が減少しています。特に伐採や干拓、密猟などが主な要因です。また、イヌやネコ、アライグマ、マングースなどの外来種による捕食も、彼らの数を減引き起こす一因となっています。2019年時点では、生息数は回復傾向にありますが、これは保護策が功を奏しているためです。ただし、今後保護対策が行えなくなると大きな減少が見込まれるほか、気候変動や異常気象の影響にもさらされる可能性があります。

ワシントン条約が発効した1975年には、この種は附属書IIにリストされており、1997年以降は様々な啓発活動が続けられ、保護区域の拡大や密猟の抑制が進んできました。2007年の推定生息数は約10,000羽から19,999羽とされています。ハシグロリュウキュウガモは1831年にロンドン動物園で初めて飼育され、1869年にはケルン動物園が初の繁殖成功を収めました。日本では1978年に野毛山動物園で初めての飼育下繁殖が達成されています。

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